アメリカはどこへ行くのか? (44 安田耕太郎)

時には蒼っぽく見える正義感を振りかざして、普遍的価値とは、正義とは、自由とは、民主主義とは、世界的秩序とはなど根源的テーマについて、理念と理想を掲げるのがアメリカの長所だと思っていた。今のままでは「古き良きアメリカ」が消えていく危惧を持つ。
戦後70年にわたって世界で得た敬意、リーダーシップを放棄しているようにみえる。残念なことだと思っている。ほぼ50/50に国が分断された選挙結果、さらに民主主義の弱点を見透かしたかのように独裁的国家運営の下、迅速な意思決定でアメリカと西側陣営に挑戦し続ける中国とロシアの動向を踏まえると、アメリカの対応には目が離せない。新大統領(現時点でバイデンが有力)が、国民皆の大統領として職務を果たす旨宣言せざるを得ない難しい舵とりを託されたアメリカと、今回の選挙によって日本は民主主義と社会主義がブレンドされた素晴らしさを再認識させられたが、弱肉強食のルールが暗黙のうちに存在する世界政治・経済と安全保障面でいかにアメリカと付き合っていくのだろうか?