1982年、YHP(当時)は好業績のもと、創業以来空前の大量採用に踏み切った。この年の新規採用者は時代の明るさそのものを反映して明朗、積極的かつ個性的、活動的で、誰が名付けたか ”動物園世代” と呼ばれ、90年代の業績拡大を支えた。
その世代も多くは第一線から引退する年齢になり、第二の人生展開にかかっているわけだが、その中にあって再び大学に学び、自身の企業人経験を軸についに博士号取得までやってのけた仲間があらわれた。入社時点から編集子の部下であった、その男、コ―セイこと相生公成。 小柄ながら機敏なラガー,たくまざるユーモアをもち宴席の盛り上げ役、個人的にはいろいろとチャレンジを重ねた苦労人でもあるのだが、まことに失礼ながら、経済学博士、などというイメージからこれほどかけ離れていたと言わざるを得ない人物であるということがまさに快哉を叫びたい、まさに年末を飾る嬉しいニュースとなった。以下、本人からのメールを紹介する。
2006年に社会人枠で中央大の経済学大学院に入れて頂きました。それから、紆余曲折がありながら、中央大学の山﨑朗教授に指導を頂き、12年かかって2018年3月に授与することができました。12年もかかっているので何度も挫折しかかりましたが、恩師である山﨑先生に動機づけられ、おだてられて何とかゴールまで辿りつくことができたという感じです。論文そのものは、提出期限時間切れで、先生の支援も及ばず100ページ超の誤字脱字満載のものです。中央大学の権威を落とすことも心配するような内容です。なので多言はせず、少数の仲間にしか話をしていないです。
私の論文は、勤務させて頂いた企業での経験をまとめたものといって良いです。主張は、IT産業エコシステムにおいて各IT企業のポジショニング戦略が重要だということです。当たり前の話なので、マーケティングの専門家の方からは、何言ってんのといういうような話だと思いますが、富士通やNECといった、製品からサービスまでを幅広く提供するビジネスモデルを批判したものです。特にクラウドサービスがプラットフォーム化した現在、各社の優位な特徴を活かす分野に集中することが重要だと主張しました。
論文の構成は、始めにということで、クラウド時代の到来とITビジネスの変化をまとめました。その後、1、大手IT企業のサービスビジネスシフト、2、モバイル時代の到来とIT産業エコシステムの変化、3、総合商社が取り組むITビジネスとIT子会社の変化、 4、クラウドの台頭を受けたDELLとHPに見られた製品企業への回帰、5、まとめとして、日本の大手IT企業の成長戦略を例にしたエコシスエムでのポジショニング(製品を辞めてSIを中心としたサービスに特化した方が良い)といった内容です。
何れも所属した会社での仕事を通じて感じた気づきを先生のアドバイスを頂きながら、過去の研究を参考にしてまとめたものです。その意味では、HPでの経験、CSKがSCSに買収された経験、DELLのEMC買収事案などが生きました。次回、もし書くチャンスがあれば、最後の会社となったTCSを材料にします。TCSは衝撃的でした。このように、論文というよりは、雑誌記事的なものかもしれません。内容が陳腐なだけでなく根っからの照れ屋でもあるため、ブログへの掲載はちょっと遠慮させてください。
山﨑先生は、地域経済の専門家です。しかし、専門外である、私のIT産業に対する研究活動だけでなく誤字脱字といった文章の書き方までも熱心にサポート頂いて感謝しかありません。先生は、地域経済の専門家として、地方創生に積極的に取り組まれ、『 地域創生のプレミアム(付加価値)戦略』や、『地域創成のデザイン』といった著書があり、縮小する日本経済の将来に向けて提言を行っています。もし、宜しければ、本も読んでみてください。
本人は謙遜しているが、論文は下記を参照の上ご一読ありたい。本人はメールの中で白状しているが、天下に名高い悪筆家であり、上司である小生にも彼の営業報告を判読するのは実に大変なことであった。論文が (多分)MSワードで書かれていなければ山崎先生もお手上げであったろうことは想像に難くない。
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