花見しかすることがない訳じゃないけど (34 小泉幾多郎)

小生卒業の高校は神奈川県立平沼高校。入学(1951年) 2年前までは女子の名門神奈川県立第一女子高等学校だったが、1950年男女共学になり、平沼高校となった。女子高時代の先輩に岸恵子、草笛光子、小園容子といった女優, 最近では、テレビ朝日8時からのニュースキャスター羽鳥慎一(早稲田大)が後輩。この時のクラス仲間と毎年恒例にしているクラス会の花見、今年は湯河原。

万葉公園の桜

83歳ともなると参加者も減り、男5名、女6名計11名。日帰りで計画したのに女性軍は折角湯河原の温泉に行くのだからと前日旅館泊、夜更けまで話し込んだようだ。一人を除き未亡人、文句を言われる人もなく自由気儘な生活だろうが男性は全員日帰り。

湯河原着からバスで美術館前へ行って女性軍と合流、町立湯河原美術館を鑑賞。月刊誌文芸春秋の表紙絵を2000~2010に亘って飾った平松礼二画伯が館長でその絵を中心に常設館には有名日本画家のこの地ゆかりの作品が並ぶ。他に現代作家展として渋谷武美という人の彫刻が展示されていた。昼食は庭園に面したミュージアムカフェで地元豆腐店十二庵の豆乳スープセットの定食。美術館前を流れる藤木川に沿って下り光風荘へ。

われわれ生誕の翌年1936年の2.26事件の東京以外の現場が此処で、吉田茂の岳父に当たる前内大臣牧野伸顕が家族使用人と共に滞在中襲撃されたのだった。牧野伯爵は無事脱出したが、護衛巡査が死亡し、負傷者も出たという。その時の貴重な資料が多数保存されていた。此処から万葉公園へ。藤木川から分かれた千歳川沿いに川のせせらぎを聴きながら散策。入口には万葉の歌碑があり、「足柄の土肥の河内に出つ”る湯の世にもたよらに子ろが言わなくに」万葉集4500種の中に、ただ一首、温泉のこんこんと湧出している様を詠ったものだそそうだ。新しい元号が、万葉集からの「令和」に決まったことから、この地も人気が出ることは間違いない。

千歳川の花

滝が小規模ながら二つあり、其処から大きい規模の独歩の湯に到着。郷土資料展示室を見たりして、千歳川沿いの道を下る。千歳川の北側が湯河原、南側が熱海で熱海側に桜並木が続く。桜並木が消えたところでちょっとだけバスに乗り湯河原駅へ。花見と共に芸術と歴史にも浸ることのできた一日だった。

(編集子 なにか高校時代の甘酸っぱいオモイデなんかも確認されたのでは?)