エーガ愛好会 (273)消されたヘッドライン

映画上映時点で興味はあったのだが見逃したままになっていた作品をCSでの放映があると知り、録画しておいたのを雨の一日、ゆっくり見た。

以前話題を呼んだ、ロバート・レッドフォード、ダスティ・ホフマン 大統領の陰謀 の様な期待感を持って見たのだが、多少、印象は違ったものだった。元凶が大手の軍関係の会社で軍や警察の上層部に圧力がかかり捜査ができない、という設定はほかにもいくつもあって、トム・クルーズのジャック・リーチャーシリーズ第二弾 NEVER GO BACK もよく似たストーリー展開だった。ただ、こちらは最後の最後になってリーチャーの推理通り犯行現場を押さえて軍上層部の悪はついえる。その過程がスリリングだったのだが、この映画ではエンディングが主人公のトリックという言ってみればルール破りとなる、あまりさえない話だった。ただ記者の執念をギラギラした演技でみせたラッセル・クロウは見直した。

ただ今回、この主人公クローの上役になるのがヘレン・ミレンと分かって、うれしくなった。この人の主演作品はハッキリ言っていわば B級フィルムばかりで、(あれ、いつこの人見たんだったかな)という程度の知識しかなかったのだが、全く偶然に、ほぼ同じタイミングで別チャネルで放映されていた、ブルース・ウイリス主演のコメディタッチの武勇伝、RED を録画していたので、引き続きこちらをオンしたら、何のことはない、この作品で重要な役割をはたす女性スナイパーがなんと彼女だったのだ。そういうわけで、(いつ見たか)という疑問も解決。いずれもドンパチ勧善懲悪ものの典型2作を満足してみた。

映画ファンの話題となれば (一番好きな俳優はだれか) というテーマは避けられない。小生の場合も女優でいえばドロシー・マローンだとかローレン・バコールだとか、という名前は出てくるのだが、この人と さらば愛しき女よ で初めて見たシャーロット・ランプリングのふたりは同じような、言ってみればひとめぼれ、とでもいうような印象が深い。

何を言いたいのか自分でもわからないんだが、”消されたヘッドライン” はその程度の印象に終わってしまい、”大統領の陰謀” の向こうを張ったジャーナリズムもの、という期待はむなしかった、というお粗末の報告である。

(注)RED は RETIRED EXTREMELY DANGEROUS  (引退してるがほうっておくとやばい連中) の略、だということである。これの第二作もそのうち放映されるのを期待する。

難しい事は言わないで、梅雨退治にキンキンに冷やしたビールかはたまた大切りの檸檬をうかせたジン・トニックでも片手に見るのに手ごろだろう。映画芸術派向けではないのは確かだ。