エーガ愛好会 (262) 高峰秀子を観る  (42 保屋野伸)

先日ご紹介した260チャンネルの掲題映画4作品(初見)観ました。(今日放映の「華岡青洲の妻」は観ているので今回はパス)

①  永遠の人(木下恵介)

仲代達也、佐田啓二、音羽信子、田村正和(デビュー作)他

(小作人の)夫(佐田啓二)が出征中、地主(仲代達也)にレイプされ、戦後地主と結婚させられた、夫婦の愛憎劇。フラメンコ調の音楽も斬新で、仲代達也と高峰秀子の演技競演が秀逸。

②  カルメン故郷に帰る(木下恵介)

 小林トシ子、笠智衆、佐野周二、佐田啓二他

 日本初のカラー映画として有名な作品。浅間山をバックに、故郷に帰った踊り子2人(高峰秀子・小林トシ子)が巻き起こす出来事をコミカルに描いた(一種の)ミュージカル作品。全編に、懐かしい「そばの花作咲く」(映画では「わが故郷」)が流れる。

*火の山のふもとの村よ 懐かしのふるさと 花に木に梢の鳥に 光満てるわが里

③山河あり(松山善三)

小林桂樹、田村高広、久我美子、桑野みゆき、ミッキー・カーティス他

ハワイ移民の2家族(田村・高峰)及び(小林・久我)の物語。太平洋戦争が(日米のはざまに立つ家族に)暗い影をもたらす。松山監督らしいヒューマンあふれる佳作。

④張り込み(野村芳太郎)原作;松本清張

 大木実、田村高広、高千穂ひずる、

 逃亡中の殺人犯(田村)が(人妻となった)昔の女(高峰)を訪ねるはず、として張り込みを続ける刑事2人(大木実他)のサスペンス映画。ハラハラドキドキ感はないが、大木実の存在感と、ほとんどセリフがない、高峰秀子の日常たたずまいが魅力的。佐世保発東京行きの蒸気機関車(西海)が懐かしい。

なお、JRのツアーガイドを見たら、高峰秀子生誕100周年のイベントを開催する東京タワーと赤坂迎賓館を見学する 日帰りツアー(22000円)があったので、家内と申し込みました。

(飯田)保屋野さんのテレビ放送紹介で、私も3作(「カルメン故郷に帰る」)は既に見ていたのでパス)を初見でみました。それぞれの作品が全く異なるテーマ性を持った内容なので、お陰様で大変楽しめました。

昭和の終戦前後の日本の社会が抱えていた因習(「永遠の人」)や移民した日本人の国籍上の悩み(「山河あり」)や東京から佐賀までの蒸気機関車の特急列車の停車駅の多さ(「張込み」)など今では文化的価値があるような懐かしい画面シーンが多く、楽しめました。

「華岡青洲の妻」は本日観ます。
高峰秀子は映画女優が嫌でしょうがなかったとエッセイや自叙伝で知ってしまった後なので、その佇まいや演技が又光って見えました。