エーガ愛好会 (256) コルドラへの道   (34 小泉幾多郎)

2月(金)のBS1西部劇は、「クイック&デッド」「誇り高き男」「たくましき男たち」と相変わらず再放映ばかりだが、珍しく20日早朝の1:50amに、ゲーリー・クーパーが亡くなる2年前に主演した最後の西部劇「コルドラへの道」が放映された。

「ハスラー」等の名匠ロバート・ロッセン監督唯一の西部劇。1916年メキシコのパンチョ・ビリャの反乱に対する米国軍の討伐遠征を背景に、ゲーリー・クーパー扮するソーン少佐が戦場での活躍で叙勲に値すると見做した騎兵隊員をコルドラの基地まで連れて行く旅を描いている。ということは、開拓者魂と壮烈なアクションを展開する本来の西部劇とは異なる。

主人公クーパー扮するソーン少佐が、戦線での銃弾を避けるため橋の蔭に身を隠した行為が罪に問われ、後方勤務に左遷された人物なのだ。開幕早々のメキシコ反乱軍と米軍騎馬隊との戦闘シーンは迫力満点なのだが、そのあとのソーン大佐が評価した5人の兵士をコルドラの基地までの経緯が最後まで続くのだ。その間、戦闘シーンは殆んどなく、どちらかと言うとこの勇猛果敢な活躍で評価されたのだが、普段は人間として立派ではなく、むしろならず者に近いのだった。メキシコ反乱軍が立て籠もっていた農場の女主人リタ・ヘイワース扮するアデレードも反乱軍への協力者として同行させたことも事態を複雑化したのだった。

主人公ソーン少佐に反発しながらも、その人間性を理解していく農場主をセックスアピールなしで好演。他に叙勲対象者ファウラー少尉(タブ・ハンター)、トルビー伍長(リチャード・コンテ)、チョーク軍曹(ヴァン・へフリン)、レシジー・ハウゼン二等兵(ディック・ヨーク)・ヘザーリンドン二等兵(マイケル・カラン)。 全般的に、軍人としての使命感と過去を背負う一人の将校を描く人間ドラマと言える。正義とは何か。勇気とは何か、集団の中の心理劇の要素が強く、ソーン少佐は自分の罪を背負うように、最後は、一人で手漕ぎトロッコをロープで引っ張る羽目に陥る。まさにキリストが十字架を背負って歩く様子。叙勲に値する男たちは反対の方向に歩いて行く。少佐は坂道のトロッコに線路上を引きずられて行く。兵士たちは、少佐が自分の手帳に中に、如何に戦場での活躍が叙勲に値するか の理由を記載したものを見て一応納得し、最終的には揃ってコルドラの基地へむかうのだった。これではとても西部劇ではなく、心理劇だった。

(編集子)助演のメンバーがなつかしい。リタ・ヘイワースとはねえ! ラナ・ターナー とか ローレン・バコール とか。 水泳選手から転向した、足に100万ドルの保険かけてる、ってのは誰だっけ? 全然タイプは違うけど、ジューン・アリスン だの パイパー・ロ―リー とか?

 

(飯田)助演のリタ・ヘイワースに絡んで、懐かしい女優の名前があったので思い出しました。

ラナ・ターナー、ローレン・バコール、ジューン・アリスン辺りまでは当時の映画ファンなら出る名前でしょうが、パイパー・ローリーはなかなか直ぐに出て来ない女優。私も彼女の映画を数本見ていますが、直ぐにタイトルが思い出せません。トニー・カーティスとスポーツカーに同乗して、猛スピードで髪を靡かせて疾走するロングカットのシーンが特に印象に残っていますが、トニー・カーティスと後に大統領になったロナルド・レーガンとの共演が多かったようです。

ウイッキペディアで調べると、パイパー・ローリーは父親がポーランド系、母親がロシア系で、昨年亡くなっています。(1932年~2023年10月(91歳没)トニー・カーティス等の相手役に飽き足らず、ニューヨークへ渡り、アクターズ・スタジオで演技を学び直し、「ハスラー」(ポール・ニューマン主演)の演技でアカデミー主演賞候補にノミネートされています。

百万ドルの脚線美の方は、多分シド・チャリシーでしょう。でも、もしかしたら水泳選手で世界記録保持者だった前歴の≪水着の女王≫と称されたエスター・ウイリアムズかも。私はシド・チャリシーの大ファンです。

(船津)パイパー・ローリーは「かわぃぃ」の元祖かなぁ
17歳で映画デビュー。ロナルド・レーガンやトニー・カーティスの相手役で人気を博したが、本人は決まりきった役柄にうんざりしてニューヨークにわたり、アクターズ・スタジオで演技を学び直した。1961年の『ハスラー』でアカデミー主演女優賞にノミネート、その後、一度引退したが1976年の『キャリー』でカムバックし、アカデミー助演女優賞にノミネート。1986年の『愛は静けさの中に』で再び助演女優賞にノミネートされた。

シド・チャリシー(Cyd Charisse、1922年3月8日 – 2008年6月17日)はアメリカ合衆国の女優、ダンサーである。1950年代のハリウッド黄金期にミュージカル映画で活躍し、フレッド・アステアとジーン・ケリーの相手役として知られる。ミュウジカル大好きなときにこの美脚で踊りが上手いのでファン。
MGMの二枚看板はフレッド・アステアとジーン・ケリーだったが、チャリシーはその二人の相手役をつとめる幸運に恵まれた。ミュージカル大好きで全部見ました。