葛飾応為のことです     (HPOB 小田篤子)

朝井まかてさんの応為(本名おえい=お栄)が主人公の「眩」(くらら)を2~3日前に読み終えたところ、偶然、新聞に入っていたミニコミ誌で原宿の太田記念美術館で、26日まで展示されていることを知り、原宿へ行ってきました。駅前はもう様々に色づいた木々が綺麗で、外国人が目につき、久しぶりの原宿でした。

 皆お目当ての北斎の娘、応為(おうい)の「吉原格子先之図」は26.3×39.8cmで、思いの外小さく、B4サイズ位で暗い色調、描かれている3つの提灯に各々、本名のお栄の❬栄❭と❬応❭❬為❭が書き込まれています。混んでいて、薄暗い照明に悪い目と重なり、肝心の
格子の後ろの遊女達はあまり良く見えませんでした。お隣にいた女性と、見終わって目が合い、お互い「あらら…」という感じでお互いちょっと笑ってしまいました。
明治30~40年制作の小林清親(きよちか)の《開化之東京両国橋之図》も夜の両国橋を下から見上げるように描いた高い橋脚と、チラチラ灯る明かり……この絵も人気があり、魅力的でした。
(安田)好天の日和、昨日徒然なるままに原宿の大田美術館と新宿西口のSOMPO美術館を梯子しました。ミッキーさんと応為鑑賞が同日とは奇遇です。「吉原格子先之図」は本当に小さいですね。鑑賞は何年かぶりの2度目ですが、見納めになるかも。
「吉原格子先之図」は映画「第三の男」を思い起こさせる見事な陰影。格子の内部のきらびやかな衣服の花魁の色彩と格子外の暗と3つの提灯の好対照が、弥が上にも妓楼の愉悦を醸し出しています。蛙の子は蛙です。