地球沸騰化の危機と国連の要請 (普通部OB 田村耕一郎)

友人MS氏からのメールをご参考までに転送します。
メールの題名は、地球温暖化を超え、「地球沸騰化の危機・・・」とあり一考を要します。昨日の「朝日朝刊」の一面トップの見出しは「最も暑かった7月・120年間分析・45年ぶり更新」となっていました)。

「エネルギー文明研究家」の「田村八州夫さん」からは、それどころか、「地球沸騰化」の危機への対応という「国連要請」をご紹介いただいています。
世界各地での異常な「高温記録」や、それに伴う「災害」を紹介し、その原因は「化石燃料の燃焼」による「温室効果ガスの排出」にあることを再確認しながら、   ”・・・小生は、地球の生態系が、恐竜絶滅の「第5次」の、次の「第6次絶滅」に向かう「人間活動が起こす危機」を覚える・・・少なくとも、「夏は酷
暑」が増幅し、反対に「冬は酷寒」になると、人間は50℃の空気を呼吸できない(グテーレス氏の言葉)・・・人間や動物の社会生活は、冬は「冬眠」、夏は「夏
眠」で、経済活動はストップするであろう・・・”

と、警告されています。

小生は、「インド(ニュデリー)」に駐在時代(1980年代初)に「40℃」の体験はありますが、「カリフォルニア」の「デスバレー」で、何と「56℃超」を記録したとのことで「驚嘆」しました。
余談ですが、「デスバレー」は19世紀半ばの「ゴールドラッシュ時代」に、カリフォルニアの「金鉱」を目指すグループが迷い込んで「死者」が出たことにその名前が由来しています。今は、「国立公園」となっていて、小生も一度訪れたことがあります(1980年代末)。太古の「海」が隆起した地形で一番深いところは「海面下数十メートル」、白い「塩湖」が広がっていたのが印象的でした。「ラスベガス」からレンタカーで「往復約500Km」のドライブでしたが、帰途、ガソリンが少なくなっても「ガソリンスタンド」が無く、(地平線の果てまで)車もほとんど見かけないので、こんなところで「ガス欠」したらおしまいだと、「恐怖」を覚えたのを想起しました。

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①  「世界気象機関(WMO)」や、「世界ウェザー・アトリビュー(WWA)」は、世界の「異常気象」を分析して、「今年7月が観測史上最も暑い月」となるとの見通しを示し、その主な原因が「温室効果ガスの排出」にあり、一刻も早く「化石燃料の燃焼」をやめなければ、地域によっては「エルニーニョ現象」による偏西風の大蛇行の影響も加わって、長期に亘ってより高温の熱波が発生すると警鐘を鳴らした。

今年は、すでに、カリフォルニア州「デスバレー」で「56℃超」を、「ローマ」や、「スペイン南部」で「40℃超」、日本でも広域的に「40℃近いの気温」を継
続的に記録し、世界各地で広域に山火事に襲われている。そして、「海面温度」が「大西洋」で7月26日ない過去最高の「24.9℃」を超えて上昇しており、「地中海」では24日に、史上最高の「28.71℃」を超えている。また、灼熱化は上昇気流や、前線に沿って豪雨が発生しやすい。

このような気候変動が、長期的には「植生崩壊」で「砂漠化」していこう。
既に、農業・生態や人間活動などに深刻な損害を、現に及ぼしている。
単に「熱中症」の危険どころではない。

② 国連事務総長グテーレス氏はこの事態を受けて、7月27日の国連本部での記者会見で、欧米やアジアなどの大部分で観測されている猛暑について「過酷な夏に
なっている。地球全体にとって大惨事だ」との認識を示した上で、「地球温暖化の時代は終わり、《地球沸騰=Global Boiling》の時代が到来した」と警告し、原因が人間活動にあるとして、各国政府や企業に対して即座に言い訳なしに、気候危機対策の強化を求めた。

グテーレス氏は、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標達成は「まだ可能だ」と指摘し、「特に、温室効果ガス排
出の8割に責任を負っている20カ国(G20)が気候危機対策と気候正義の実現のためにさらに力を入れねばならない」と強調し、以下について各国に要請した。

・排出削減の面では、G20に新たな野心的な目標設定を要請した
・またすべての政府や企業に対して、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めるよう求めた。
・そのため、金融機関が化石燃料事業への融資を中止することを要求した。

・グテーレス氏は、途上国を支援する「緑の気候基金」について、主要7カ国(G7)のうち追加拠出を表明したのは、カナダとドイツだけだと懸念を表し、先進
国に迅速な行動を促した。

③グテーレス氏は「地球沸騰化」とはどんな事態なのかを明確に示していないが、物理的には、水が水蒸気に相変化(エネルギー拡散)してエントロピー増加が進むことであり、気候変動が一方的に非可逆的に進むステージになることだといえよう。

小生は地球の生態系が恐竜が「絶滅の第5次」の、次の「第6次絶滅」に向かう「人間活動が起こす危機」を覚える。少なくとも、「夏は酷暑」が増幅し、反対に「冬は酷寒」になると、人間は50℃の空気を呼吸できない(グテーレス氏の言葉)。
人間や動物の社会生活は、冬は「冬眠」、夏は「夏眠」で、経済活動はストップするであろう。

ウクライナ戦争や台湾有事で大軍拡だと、「紙コップ」の中で核威嚇しながら、愚かに騒いでいる場合ではない。
要するに、「今だけ、カネだけ、自分だけ」の世界観から抜けだし、「豊かな地球文明を次世代に引き渡す」超イデオロギーの世界観に切り替えることである。

「田村八洲夫氏のプロフィール」
1943年大阪府堺市に生まれる。京都大学(大学院・地球物理学)卒。探検部。1973年、石油資源開発会社入社、石油探鉱の技術開発、地熱開発の代表業務などに従事。取締役、顧問を経て2009年退職。その間に早稲田大学10年、東京大学2年、非常勤講師を勤める。著作として炭鉱関係の技術書3点、退職後にエネルギー文明論の著作として共著「石油文明が終わる」(もったいない学会)、自著「石油文明はなぜ終わるのか」(東洋出版)、自著「21世紀文明の岐路とエネルギー選択」(金融ブックス)がある。京大探険部OB。