東京だって梅は咲きます!  (普通部OB 船津於菟彦)

東京都内にはいくつかの梅の名所があります。先ずは眼下の錦糸公園はたった4本ですが、比較的早咲きの紅梅・白梅が咲き、錦糸公園の朝の散歩の目を楽しませてくれます。
ウメ(梅、学名:Prunus mume、英: Japanese apricot)は、バラ科サクラ属の落葉高木、またはその果実のこと。果実を利用する品種は「実梅」として扱われ、未熟なものは有毒であるものの、梅干などに加工して食用とされる。樹木全体と花は鑑賞の対象にもなり(花梅)、原産地は中国であり、一説には日本への渡来は弥生時代(紀元前3世紀 – 紀元3世紀)に朝鮮半島を経て入った、また他説には、遣唐使が日本に持ち込んだと考えられています。奈良時代頃に中国から日本に渡来、という説では、薬木として紹介されたとしています。
日本の古典では花といえば「桜」を指しますが、平安時代初期までは花といえば「梅」を指すことが多かったのです。梅はあたたかい春に先駆けて、まだ寒い時期にいち早く蕾をつける植物ですから、春を告げる花、縁起のよい植物ですし、凛とした風情のある梅を好む俳人や画家はたくさんいます。
与謝蕪村
梅が香の 立ちのぼりてや 月の暈
梅咲や せうじに猫の 影法師
小林一茶
梅さけど 鶯(うぐいす)なけど ひとり哉
正岡子規
白梅や 雪かと見れは 匂ふ枝
白梅の 黄色に咲くや 年の内
紅梅の しだれし枝や 鳥も来ず
梅か香は うしろになりぬ 朧月
思へ君庵の梅花を病む我を / 芥川龍之介
手折らるる人に薫るや梅の花 / 加賀千代女
梅が香や風のあいあい木にもどり / 加賀千代女
梅ばかり誠の事やとしの内 / 加賀千代女
梅の名所巡りを致しました。先ずは湯島天神。 素晴らしい盆栽の紅梅白梅が目を惹きます。この古木は何年世間を観てきたんだろうか?枝垂れ紅梅も綺麗でした。そして近くの亀戸天神・梅祭り。 ここは藤の方が綺麗ですが、ここ数年梅もすっかり大きくなり6分咲きでしょうか。明神様は今受験の方のお詣りの列が絶えません。受かると良いですね。
やや歩いて、かつて江戸の梅の名所として有名だった小村井・梅香園・香取神社へ参りました。ここは安藤広重の浮世絵に描かれ、多くの文人などが訪れた梅屋敷が在ったのですが、明治43年の大洪水で流れ廃園になってしまいました。そこを小さな香梅園として香取神社の片隅に復活しました。
美しい花と香の梅でも楽しみながらキョウイク・キョウヨ無き輩は「お暇」を過ごすしか能がありません。 来たるべき弥生三月が素晴らしい「春」になることを念じて——。散るたびに 老ゆく梅の 木末かな

「願わくば 花の下にて春死なむ その如月の望月の頃」西行