ワクチンを打ったから大丈夫ではありませんよ  (普通部OB 篠原幸人)

新型ワクチンを打ったから、他人に移す可能性もなくなったと考えている人は意外に多いようです。貴方や貴女もそうではないですか? 「ワクチンを打ったから家族に移す可能性はない」とか「ワクチンを打ったから、安心して東京から帰省できる」など、テレビのインタビューに答えている人もよく見かけますね。そんな人に私は一寸イラっとします。

例えば貴方が2回目のワクチンまで無事に終了したとします。しかし、ウィルスはそんなことは知りません。貴方が例え「ワクチン接種済み」という札を首からぶら下げていても, ウィルスは字が読めません。ワクチン接種が済んでいる人にも、済んでいない人にも、ウイルスは口や鼻、眼などから入りこみ、鼻・咽頭・気管支などの粘膜にくっつきます。ここまではワクチンを打っていようがいまいが皆さん、同じです。分かりますね。

ウイルスの一部はすぐに粘膜から血液に取り込まれ体中に広がります。しかし若しワクチンが十分効果を発揮し、体内に多数の抗体(まあ自衛隊のようなものです)が出来ていれば、抗体はウイリスが細胞にくっつくのを邪魔します。すなわち感染を予防できるか、発症しても軽くて済む場合が多いのです。これがワクチンの効果です。

しかし、一部のウイルスは暫く貴方の粘膜にとどまり、大声を出したり、咳やくしゃみをした時に、外へ飛び出して、他人に飛び散ったり、場合によっては空中に浮かんで、次のターゲットに移動するのです。だから、貴方がワクチンを打って抗体が十分にあっても、他の人に移す可能性は十分あることは分かりますね。

もう一つ、大事なことであまり知られていないのは、ワクチンを打っていても、咽頭まで入ったウイルスは、そのまま水や食べ物と一緒に貴方の胃から十二指腸・小腸・大腸を抜けて、生きたまま、便として排出されます。ある地域のコロナの感染の蔓延の度合いを調べるのに、下水道のウイルスの量を調べればいいと言われるのはそのせいです。

したがって排便の後、必ず便器に蓋をしてから水を流すように、言われているのはその為なのです(知らなかった?)。蓋を閉めずに水を勢いよくフラッシュすると、見えなくても便のなかのウイルスは便器の周りや床に飛び散り、後でトイレに入ってきた他の人に移っていく可能性が高いのです。よく言われる家庭内感染にはこの点も大きな原因となっていると思います。いくら3蜜を避け、手洗い・うがいを励行しても、感染が拡がる大きな要素はここにもあるのです。

従って、誰が使用したか分からない会社・デパート・ゴルフ場・スーパーなどの共用トイレもなるべく使用しないでください。お尻にウイルスをつけて家まで帰ってくるなんて、家族には良い迷惑です。またそのお尻で自宅の便器に座り、ウイルスをそこに植え付けるのでしょうから。一方、尿の中には多分ウイルスは殆どいないと思います。従って、女性の場合は別として、男性の小用専用トイレはあまり心配ないと思います(でも周囲に飛ばすのははた迷惑ですよ)。また手洗いの水道の蛇口やトイレのノブに不注意に触るのも要注意なのは当然です。