オリンピック開催下でのコロナ対応   (34 船曳孝彦)

 

コロナ新感染者数が増加する中で、オリンピックが迫ってきて、開催か否か、開催強行となれば観客をどうするのか、緊急事態宣言は?蔓延防止対策は?など、日々の情報が変化し、私のコロナ情報が随分間をおいてしまいました。結局は、私が前から言っていたように、医療界の反対を押し切ってオリンピックは開催する、ただし無観客の原則を導入するということで決着しています。

明らかに第5波は感染力の非常に強いインド株を主体に高まってきております。生物学的に見てビールスは当然変異を繰り返し、感染力の強い株が他の株をしのけて感染の主力となるので、大変に危険です。

問題は、ワクチンの予防力です。ビールスに打ち勝つ生命線はワクチンですが、その予防力は100%ではありません。従来型のビールスに対して95%前後の予防力が証明されているのは、素晴らしい成績です。インド型は免疫逃避の変異を持つことから、ワクチンが効かないのではないかと懸念されていましたが、幸い90%以上の予防効果があるというデータで安心していました。しかし最近60%だというデータが出てきました。インド型株の検討が不十分だったので、検討症例が多くなれば90%に近づくのか、あるいは60%が正しいのか製薬会社ごとのワクチンによっても異なりますが、データが十分ではありません。あるいは新たにマイナーチェンジのワクチン抵抗性の変異を起こしたのか、まだ十分には分かっていません。3番目の新たな変異(すでにデルタ+が出ています)が、医学的には一番考えられる仮説で、怖ろしいことです。

感染数と人流とは相関することがはっきりしています。今、第5波として蔓延力が強まっている時期に合わせて、オリンピックで人を集めようというのは、なんとしても理不尽です。開幕までもう10日を切ってしまいました。選手団の入国状況があまり報道されませんが、来日拒否が続出する可能性もありますし、入国選手団、関係者がバブル方式と称する不確かな体制とプレーブックといういい加減な行動規範で、大丈夫なのでしょうか。すでに規定破りの選手、関係者が街に出歩いていますし、土台、自主待機期間の1週間なり2週間が有名無実化してしまっています。選手にとっても24時間監視下に置かれたままの状態が何日も何週間も続き、しかもその間に世界一のパフォーマンスをせよとプレッシャーが強いられているのです。精神的にも変調をきたしてしまうのではないでしょうか。海外からの選手団、関係者に、日本の規制、日本人の思考を理解せよといっても無理な話で、どうしても新規感染者は増えることになるでしょう。渡来者だけでなく日本人も感染します。その時、コロナ患者の対応が十分に出来るか疑問が残ります。さらに熱中症が加わります。医療体制が持ちこたえられない可能性大です。海外からはブーイングの波が来て、責任を問われるでしょうが、IOCは日本側に押し付けて逃げを切るでしょう。

新型コロナ感染はこの先どうなるのでしょうか。ワクチン接種の効果が上がって収束に向かうか、インド型には予防が効かず第5波はますます猛威を振るうのか、新たな変異を起こして次の第6波迄いくのか、まだ読めません。流れとしては収束に向かうとしても、オリンピックが絡んでくると、終息したといえる日はまだまだ先になるでしょう。

私たちはどうすればよいのでしょうか。ワクチン2回接種を受ければビールスに対する抵抗力は出来たはずです。従って高齢者は理論的には少人数なら静かな会食も可能なはずです。しかし世の中には緊急事態宣言が出されておりますし、アルコールが入ると静かなとはいかなくなるかもしれませんが。肝心の働き盛り世代にはワクチン接種が進んでおりませんので、社会的免疫が出るといわれるような70%(少なくとも50%超)接種率に達するのは年を越すかもしれません。ワクチン行政は完全に失敗し、破綻しています。早くから確り準備・手配し、上手くワクチン接種を進めていれば、無観客オリンピックももう少し安心して出来たでしょうに。

第5波の間、やはりマスクで微小飛沫を避け、症状の出ていないインド型株の感染者からの感染を避けるようにして、笑って会食できる日を待ちましょう。