監督 アッパス・キアロスタミの“ジグザグ道三部作”の第一作。イラン映画とイランの北部の景色を(多分)見たことがありませんでしたので鑑賞しました。イラン北部の村に住む少年のある日の、それも半日位のお話。 私たちが今住む世界とは全く違う時間が流れる世界でした。
学校から帰った少年アハマッドは、隣の席の友だち、モハマッドのノートを間違えて持ってきた事に気が付きます。 その日の授業で、モハマッドは宿題をノートではなく紙に書いてきたので、先生に酷く叱られ、この次にノートではなく紙に書いてきたら退学だと言われていたのです。 先生がノートに書きなさいと言う理由は、まず、決められた規則を守ることを学ぶため、次に書き取りがどんなに進歩したか知るため。 この映画の中では、ノートに書く事を先生が重要視しています。さあ大変、ノートを返しに行かないと友だちのモハマッドが退学になってしまうと、アハマッドは慌てて返しに行こうとするのですが、友だちの家を知りません。
友だちの家は行った事もない隣の村。 山を超え谷を超えて、急な坂道にあるという友だちの家を探し周っていると、村の人が言うことには、友だちはアハマッドの住む村に行っている、と行き違い。
左 白い袖の服で下の方を走っているのがアハマッド
ジグザグの道を行ったり来たり
アハマッドは暗くならないうちに友だちの家を探し出して、早くノートを返さないと、と焦っているのに、友だちのうちは見つからないし、友だちの家まで案内してくれると言うおじいさんは足が痛いからと早く歩けず、夕暮れになってしまいます。
暗くなってやっと友だちの家に着いたと思いましたが・・・翌日、優しいラストシーンが待っています。次の日、教室で。 アハマッドはまだ来ていません。先生が宿題を出しなさいと教室の中を周り始めます。
モハマッドは、宿題のノートがないので、どうしよう(;o;)と落ち着きません。うつ伏して泣き出しそうです。ようやく遅刻してきたアハマッドが席に着き、「先生宿題見た?」モハマッド「まだ」 「宿題やってあるからね」と、ノートをモハマッドに渡します。
先生が周ってきてノートをチェックします よろしい
バンジョウのような音色の楽器(何という楽器でしょう?)が奏でられ ペルシア文字のエンディングの字幕が流れ映画は終わりました。
お国は違いますが、遠い昔にこんな時間があったかもしれないとノスタルジックな気分になりました。アッパス・キアロスタミ監督は、この「友だちのうちはどこ?」で評価され“ジグザグの道の監督“と有名になったそうです。
(編集子)やっこの感想文を読むだけで心がふんわりとしてくる気がする。たしかにイラン、という国のことを僕らはほとんど知らないことも改めて感じる。ペルシャ、といえば名前は知っているがどうもおとぎ話に出てくる話くらいしか日常には感じない。政治の世界では中東問題の核心にある国なのに。
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