一部の筋でちょっと話題になった同窓の後輩にあたるある若者のことお伝したいと思います。史上最年少で司法試験に合格した大槻凛くんという青年(むしろ少年?)のことです。
皆さまご存知かとは思いますが、かつては法曹三者(裁判官、検察官、辯護士)になるためには旧司法試験制度(一次・二次・短答式・論文式・口述)という超難関をクリアする必要があったのですが2004年に創設された法科大学院制度によって、法科大学院修了後5年以内に司法試験(短答式・論文式・口述)受験するという制度に変更されました。諸事情で法科大学院に通うことができない法曹三者志望者のために司法試験予備試験という制度が設けられこの予備試験の合格者も司法試験を受験することができます。合格率からみると難易度は旧司法試験≒司法試験予備試験のようです。この司法試験予備試験の合格率は約4%と非常に狭き門となっています。記事中にもありますが法科大学院修了者の司法試験合格率は約35%(東大、京大、慶應、早稲田の法科大学院はもっと合格率は高い)であるのたいして司法試験予備試験合格者の合格率は93.5%となっています。大槻凛くんは塾高3年生でこの司法試験予備試験に合格し、今年塾法学部に進学して受験した司法試験に合格したそうです。法曹を目指した動機や高校生としての勉強方法などに関してはリンクした記事を読んで頂くとして、その頭の良さや勉学に対して努力を惜しまない姿勢もさることながら以下発言のようなとても19歳の青年とは思えないしっかりとしたモノの考え方には吃驚しました。
>>はい。やっぱり教養って大事だと思います。極端な話、いま大学を中退して、司法修習を受けて、弁護士になりました、ということも理論上は可能です。けれど「こんな若いやつに相談や依頼をしたいですか?」と聞かれたら、頼みたくないと思うんですよ。
法律家は、法律の知識だけで仕事をしているわけじゃないと思うので。教養という面で考えても、やっぱり大学に通う意味はある。よりよい法律家になれるんだろうなと考えています。
そして、これから勉強に限らず、幅広く社会経験も積みたいです。今まであまりしてこなかったので、いろんなことに手を出したいです。その一つとして、留学があると思いますし、英語もそうですし。法律と全然関係のないアルバイトもしたいです。<<
いい大人でも舞い上がりそうな状況なのに19歳にしてこの自覚が凄いというか素晴らしいです。若くして自分の才能を認めてくれる証左を手に入れた場合はある種の全能感に浸って傲慢になりがちですがそんなところが全くなく謙虚です。
大槻凛くんは幼稚舎から慶應なので、中学〜大学受験の勉強をする必要がなく興味を抱いた分野に没頭することができる時間を持っていたことが年若くしてこの資格試験に合格できた由縁だといえます。そして彼をそういう環境で育てるためには親の意志や経済力(幼稚舎6年間の学費は約750万円、新設された横浜初等部は約950万!)が必須であり社会の格差は人格形成を含め人材育成にも大きな影響を及ぼしていると感じた次第です。
(安田)最近よく話題としてマスコミ・テレビでも取り挙げられているのが、経済格差による教育格差の問題の深刻化です。日本よりアメリカの状況が酷い。例えば、東部の名門アイビー・リーグ私立大学の授業料は年間$5~6万(約600万円)する。日本の私立大学の5倍ほどか。教育格差が社会に出てからの成功の格差を産み、結果として階層を硬直化、固定化させ益々格差社会と経済格差を助長させています。そして、この問題をより深刻にしているのは格差が世代を超えて引き継がれる傾向が高いこと。住むコミュニティーなども日本などより貧富の差が峻烈で、地域格差も顕著で犯罪の温床ともなっていて、弱肉強食のアメリカ社会の恥部の一つになっている。日本と違い国民皆保険制度のないアメリカでは、貧困層は病気になっても高額な医療もまともに受けることも出来ず、富裕層との寿命格差をも産んでいる。
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