古き良き時代のエーガ (1) ”探偵物語”   (普通部OB 船津於菟彦)

日本公開は1953年2月となっているのので普通部2年の時の映画鑑賞会で多分日比谷映画に見に行ったと思う。中学生がこの映画を「鑑賞会」として観に行ったという事で、引率の先生は糾弾されたとか言う話があるが、何処吹く風で、その後も東劇とか有楽座のロドショーの映画をよく見に行きました。さてさてさて。何が問題だったんでしょか。余り筋も覚えて居ませんが、エーガ鑑賞会が父兄会で問題になったという事だけ良く記憶しています。
ストリーはニューヨーク21分署の刑事たちの一日を描いたシドニー・キングスレーの舞台劇の映画化。違法な堕胎を行う悪徳医師の摘発に躍起になる鬼刑事とその妻の秘められた過去、会社の金を横領した青年、初犯の万引女性、二人組の強盗等の話に刑事同士の葛藤を織り混ぜた人間ドラマの秀作。ほとんどの舞台を刑事部屋だけに限定し、巧みな脚本と名監督W・ワイラーの緊張感ある演出ですこぶる上質な会話劇を作り上げていて、見応えがあった。
問題は鬼刑事-カーク・ダグラス-の新妻メアリー-エリノア・パーカー-(凄い魅力的だった)が鬼刑事が追及していたシュナイダー医師によって堕胎の手術を受けていた事実を知ることとなる。

Eleanor Parker, ca. late 1940s

カーク・ダグラス演じる鬼刑事はカーク・ダグラス心優しく、美しい妻を許したいと思いつつも、生来の厳格な性格から、心から許すことができないマクラウドは苦悩する。色々な葛藤の末鬼刑事は強盗犯に近づき腹に三発の銃弾を受ける。救急車を呼ぼうとするが、鬼刑事は死を覚悟し牧師を呼べと言う。死を目前にして鬼刑事は、メアリーの名を呼び、神に救いを祈りながら息を引き取る。
問題は「堕胎」と「姦通」では無いか。今だったら問題にもならないと思うが、矢張り当時はね。

しかし、舞台劇を映画にしただけ在りウィリアム・ワイィラー監督は上手かった。エリノア・パカー大人の魅力良かったなぁ。