ミス冒愛好会 (13) 日・中・英 それぞれのお話

(菅原)

久し振りに、大変、面白い冒険小説に出会った。と言っても、1913年の作品だから、今から100年以上も前の話しだ。名前だけは聞いていたが、本物に出くわしたのは今回が初めてだ。英国の作家、サックス・ローマーの「怪人フーマンチュー」だ(漢字では、溥満洲だそうだ。 そこから、てっきり満州人だと思っていたが、出身地から漢人らしい)。一言で言ってしまえば、江戸川乱歩の「怪人二十面相と明智光秀(は、「麒麟がゆく」か)じゃない、明智小五郎」と思っていただければ良い。ここでは、白人世界の支配を目論む怪人フーマンチュー(悪)対、それを防ぐ英国政府高等弁務官のネイランド・スミス(善)の構図となる。とにかく、危機に次ぐ危機が、スミスだけでなくフーにも襲ってくる。そして、いずれもその危機から脱出するお話しだ。従って、物語りにただ身を委ねていれば良い。ところが、偶然が多過ぎるとか、平仄が会わないとか、屁理屈を言って文句を言いだすと、このお話しは成立しなくなる。従って、そう言う人にはお薦めしない。これがフーマンチューの第一作で、最後は1959年の13作目まで続いたとのことだ。日本では、あと第二作目の「悪魔博士フー・マンチュー」(1916年)が私家版で出ているだけだ。

なお、小生が読んだのは、ハヤカワ・ポケット・ミステリー(2004年発行の1757番。翻訳は嵯峨静江)。他にも、ジョン・フィリップス・マーカンドの「サンキュー、ミスター・モト」(1936年)も読んだが、面白さと言う点では、「フーマンチュー」には遥かに及ばない。

(中司)ここのところえらく評判のいい ”カササギ殺人事件”。先ほど読了。宣伝文句にいわく、読み終わったらボーゼンとする、とか、こういうの、あり?なんてのが多かったけど、ストーリーそのものはともかく、構成が非常によろしい。おすすめ。フーマンチューはこれから。先週まで、ジョー・ネスボを2冊、抱えていたので。

(菅原)「カササギ・・・」、上巻は明日から借りられるが、下巻はまだ4人が待ちの状態。ここが、図書館の泣き所。

ジョー・ネスボ、全く知らなかった。Wikipediaを見ると、最近の流行りの人らしい。でも、こいつを原書で読んでるんだから、貴兄、大したもんだね。逆に、小生は、マイケル・ギルバートの「スモールボーン氏は不在」(1950年。訳者:浅羽莢子。小学館)を読んだ。70年前の本を、一生懸命、読んでたら、現状には全く疎くなっちゃうね。こいつは面白かったが、犯人がムリ筋でいささかガッカリ。

(岡野)菅チューから紹介された辻真先の本はまだ図書館の順番が来ないので、すぐ借りられた「焼け跡の二十面相」を読みました。

時代設定が戦中から戦後なので、懐かしい風景が思い出される”少年探偵団”でした。もう一冊は陳浩基/訳・玉田基、二段組みで537ページ、読みでがありましたが予約が入っていて延期が出来ないので電車の中でも読みました。

痴漢被害に遭った妹がネットの書き込みで炎上し自殺、姉が”ネット探偵”に依頼して犯人捜し「復讐」というストーリーですが、ネットのハッカーや仕組みがも判るテンポ良く読める本でした。

(中司)4,5年前になるかなあ、”K-20″  怪人二十面相っていう映画見ました。太平洋戦争は直前に回避されたが、代わって独裁政権が出来た日本、という設定でしたけど、これが原本になるのかなあ。主演は金城武、明智小五郎が中村トオル,松たか子、国村隼人。DVDがアマゾンにもありますが、えらく面白かったです。

実はステイホーム中の読書三昧用に何冊かアマゾンから本を買ったのですが(スガチューご推薦のフーマンチューもそのうち)、なんと間違えて同じ本を2冊買ってしまいました。田村兄にご相談したらやってみようと快諾されたので、本日送りますが、題名は翻訳では”影の護衛” 菊池光訳 ハヤカワ文庫 です。彼に送ったのは原本 著者は Gavin Lyall  という英国の正統的冒険小説の大家、題名The Secret Servant  .。アメリカ人なら Servant ではなく Agent  というのかもしれません。たむちゃんには警告?しておいたのですが難しい英語ではないけれどおよそイギリス人か英国滞在の長い人しかしらないだろういいまわしとか俗語が出てくるので、結構時間はかかるのではないか? しかしその分、コロナ鬱予防にはよろしいのでは。各位、一念発起して原書購読?しませんか。もっと読みやすいの、ご紹介しますよ。語学は認知症予防に最適、という医学的意見もありますし。

(中司―田村)今朝、本を発送しました。

そのあと、自分でも読み始めたのですが、物語は主人公マキシム少佐が全く畑違いの政府機関に配属になって戸惑うところから始まります。ですので、辞書を引いてもわかりようのない政府機関の名前(それがまた略称になったり)だとか独特の言い回しが出てきます。小生、こういう時は深追いせずに想像力で補うことにしていますが(要はストーリーの展開がわかれば十分、と割り切って)、たまたま翻訳本が手元にあるので、その部分だけ参考にすることにしています。同じイギリスの作品でも、ジャック・ヒギンズ(代表作は 鷲は舞い降りた Eagle has landed)のものはとても読みやすいのです。ライアルは今までに4冊ほど読んでいますが、いずれも苦労しています。