「Ryo is back」と聞けば、石川遼を思い出すぐらい原寮のことは全く知らない。その初めての作品「そして夜は甦る」(ハヤカワ・ポケット・ミステリー。1930番)を本日、図書館からやっと借りだすことが出来た。これは、ジャイ大兄の極めて激しい「アオリ」のおかげだ。そこで、ハードボイルドのお返しをと思って、D.ハメットの「血の収穫」、英国のH.チェイスの「ミス・ブランディッシュの蘭」などを考えたが、これらは、ハードボイルドと言うより、むしろフランス語の「roman noir」(暗黒小説)だ。だから、貴兄の嗜好に合わないと危惧した。そこで、小生の本命を、以下にご紹介する。
小生、大変、お気に入りの藤澤周平だ。特に、「蝉しぐれ」、「海鳴り」(毀誉褒貶相半ばする。何故なら、その結末が、「マディソン郡の橋」と真逆だからだ)なども面白かったが、一番、面白かったのは、「彫師伊之助捕物覚え」の三部作だ。「消えた女」、「漆黒の霧の中で」、「ささやく河」。うろ覚えだが、藤澤自身「私は、全く意識していませんが、これらはハードボイルドだとの評価を受けました」と述べているように、話しの内容は勿論のこと、そのカワイタ文体は正にハードボイルドそのものだ。時代小説、それも捕物帳だからと言って毛嫌いされていたなら、それこそ、騙されたと思って一読されることをお薦めする
大袈裟に言えば、真のハードボイルドは、米国だけでなく日本にもあった。
(編集子)小生の日本史の知識はぼぼ100%司馬遼太郎と吉川英治で、