ここのところ、人間グーグル安田vs日野の賢人保谷野の ドクトルジバゴ をめぐるトークとか、久米行子の 眼下の敵 の ”ユルゲンス クーパー論” についてのサブロー反応など、博識者間のやりとりが面白い。それぞれにうなづいてみたり ? などとやっている間、これは文句なし単純明快典型西部劇がBS劇場に登場。なんせブリンナー以外は当時は無名に近かったわき役陣、マックイーン、ブロンソン,コバ―ン、ヴォーンがその後のスターダムにのし上がるきっかけとなった作品だし、タイトルバックに introducing Horst Buchholz と出てくるのもなんともカッコよかった。ブッフホルツはドイツでは評判が高かったようだが、日本で見る機会は少なかったような気がする。テーマ曲は今でもポピュラー曲CDの常連でもあるし、日本映画がハリウッドでリメイクされた (確かではないが、よく知られたという意味では)はじめてのものではなかったか。ま、理屈抜きに改めて4度目を観た。
西部劇がその後アメリカ社会の変貌に従って人種問題や社会観やはたまた心理学的手法とかなんだとか、いろんなことで理屈っぽくなってしまい、論理的にはわかってもなにかすっきりしなくなってきた。やはりセーブゲキてえのはこれなんじゃああるめえか、と思わせる作品だ。
(小泉) クレジットタイトルと共に、打楽器が効果的に使われた小気味よい
> ご承知の如く、物語は黒沢作品を其の侭巧みにメキシコの寒村に移
> どうやら、主演のユル・ブリンナーが、「七人の侍」を見て感動し
> 要約すれば、ブリンナー以下7人のガンマンと山賊の頭領を含め。
(安田)半世紀以上ぶりにこの映画を観た後、3度目の「7人の侍」も観ま
銃によるやや淡白な殺し合いに比べて刀剣では間合いが圧倒的に近
The King and I ではユル・ブリナーは“I”役に決まっていたモーリン・オハラを
荒野の7人を観た頃は沢山印象に残る映画を観た記憶があって調べ
(編集子注)この作品自体がリメイクである上に、この後、日本での題名が 荒野の七人 を冠している(カタカナでずばりマグニフィセントセブン、というのもある)映画は4本あるが、そのうち、いわば正当な続編はブリンナーがクリス、として出てくる “続” だけで、あとは主演もどちらかといえば悪役のイメージがあるジョージ・ケネディやら、なんとデンゼル・ワシントンなんかに変わっていて、ストーリー上のつながりは全くない。
クレジットタイトルもエーガの楽しみのひとつで、昨今のモダニズムとCG技法を多用したものも悪くはないがあまり心に残るものがない。古いもので恐縮だが小生愛してやまないフォード 荒野の決闘 の牧場の柵に刻まれたものとか、地上最大の作戦(何度も言うがなんとつまらない題名にしたもんだ)の波打ち際に転ぶ、主を失った鉄兜とか、印象に残るものが多い。又中学生から高校時代、みんながほぼ一様にもっていただろうアメリカへのあこがれ、それをたきつけるタイトルの作り方のひとつが、主演陣の紹介のあとに1行あらわれるいかにも思わせぶりな、introducing…..という見せ方だった。ただ僕が知る限り、ケイン号の反乱の ロバート・フランシスにしても エルダー兄弟 のマイケル・アンダーソンにしても、こうやってお披露目され、楽しみだな、と思わせた連中の多くはその後は鳴かず飛ばず、フランシスに至っては確か事故死してしまったと思う。そういう意味ではこのブッフホルツなんかは期待通りだったのかもしれない。