乱読報告ファイル (57) ”発掘” がテーマの本を読みました  (HPOB  小田篤子)

娘一家が家を建てたい…と言っている裏の土地は、遺跡発掘調査から1年以上経ち、5月から再調査中。6月までの予定が、まだ毎日炎天下で掘っています!
偶然もあり、発掘に関係する本とNetflixの映画をみました。
①アガサ・クリスティの
「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」
クリスティは再婚の夫が、大英博物館の考古学者であった為、オリエント急行を使ったりし、シリアなどに度々同行しています。知り合いの人たちにその暮らしぶりを問われることが多く、本にしたようです。
クリスティらしく、発掘の様子よりも現地で雇ったり、出会った人々の様子や自分の暮らしの中のエピソードを面白く書いています。
例えば、シリアで借りた家は、頼んでおいたにもかかわらず、行ってみたら、家族7人と家畜が居座っており、退去させたはよいが、夜、壁一面にネズミが出、現地人に言うと、プロの猫(最高に猫道に秀でた猫)で退治してくれ、その後は出なくなったとか。
雇い人の奥さんに目薬をあげると、説明したにもかかわらず、目にさした残りは飲んでしまったり…。作業員は皆、時計も持たないのに5k,10k離れた所からピッタリ日の出前に現場に来るのが不思議等など。
これらの経験をもとに、彼女はこの時期に、オリエント急行、ABC殺人、ナイルに死す…etc.名作を沢山書いていることに驚かされます。
映画「時の面影」’21年イギリス(Netflix)
夫に先立たれ、広い土地を所有している夫人(エディス)は、塚がいくつかあるのを不思議に思い、農家の出のアマチュア歴史家で発掘の仕事をしている男性(ブラウン)に発掘調査を依頼します。
苦労して掘ると、船型の地位の高い人の墓が出土。この事が知れ、国レベルの大英博物館の発掘調査となってしまい、彼は雑務担当に。
妻は彼を励まし、『発掘は未来と先祖をつなげ…永劫の価値がある』と。この言葉が頭に残りましたが、我が家の裏は…。
発掘品は大英博物館に寄付され、エディスの死後《サットン・フーの遺跡》として公開され、近年になり、やっとブラウン氏が発見した事が記されたそうです。
以前観た映画「ロスト·キング500年越しの運命」もイギリスのアマチュア歴史家の主婦が、駐車場からリチャード3世の遺骨を発見した話でした。
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クリスティのところで書きたかった事2つを忘れていました。
✤ひとつは;アドバイスをしても『すべてはアッラーの神のおぼしめし次第…』となってしまうこと。
✤ふたつめは;命を軽く見る。✩アルメニア人、クルド人、アラブ人等の作業員間で争いが多く、喧嘩には罰金、武器を携帯していないかのチェックをした。
✩「イスラム教徒なんて死ねばせいせいする」
✩「息子を助けて…人をひとり殺しただけです。」
✩「今日は女性の処刑がある。珍しいから行こう。なぜ行かないのか?」と言う人がいること。
✩出土品を横取りしようとし、生き埋めになった人を可哀想と思わないこと…
などが書かれています。
(編集子)素人がいまさら云々するような作家ではないが、小生は(その道のプロの評価は高くないようだが)やはり ”私はポアロがカボチャづくりなんかにこなければよかったのにと思う” で終わる ”アクロイド殺人事件” でこの人に取りつかれ ”そして誰もいなくなった” が最高傑作だ、と思い込んでいるひとりである。エーガではピーター・ユスチノフがポアロを演じた ”ナイル河” かなあ。それともギャラはいくらかかったのか、心配になった超豪華キャスト版(ローレン・バコールが特によかった) ”オリエント急行” だろうか。ミッキー、これを機会にアガサガールズに参加しませんか?