便秘の話です      (普通部OB 篠原幸人)

最近、私と同年配の患者さんで、本来の病気の他に「便秘」を訴える方が多くなりました。皆さんの中にも最近多少便秘傾向という方も多いのでは? 一番の原因は昔のようにキチンと毎日仕事に行かないから、生活が不規則になっていることもあるでしょうね。

動物は一般的に12秒ぐらいで排便するそうです。のんびり排便していると敵に襲われるからね。人間は大体50秒ぐらいというデータがあります。のんびりトイレで新聞なんか読んでいる人は別ですが。昔から「早食い・早便は芸のうち」って言いますよね。

人間が何かを食べると 吸収されなかったものは若い人では平均35時間で便として出るそうです。一方、高齢者では70時間ぐらいかかると言われています。高齢者はやはり腸の動きが少し弱っているんでしょうね。食べたものの種類や量にもよるけどね。この時間は運動量や水分量によっても変化しますが。一般的には毎日1回は排便があるのが普通と考えていいでしょう。個人差もあり、2-3日に1回までは許せますが、5日から1週間もため込む人は何らかの対応が必要でしょう。高齢になると直腸まで便が下りて来ていても便意を感じなくなる傾向があります。以前にもこの「徒然」で書いたと思うけれど、定期的にできれば毎日朝食後には便意がなくてもトイレに入る習慣は持っていたほうが良いでしょうね。例え、何も出なくても。最近便秘が気になる方は、普通の医院でも超音波(エコー)を使って簡単に便の移動の状態を調べてくれますよ。

便秘がひどいとどうしても息み(いきみ)がちになります。高齢者の息みは血圧を上昇させで心臓や脳の病気を引き起こしやすくします。熊本県での13年もかけた調査では便秘のひどい人は心臓病や脳卒中になる確率が高く、その主な原因は「いきみ」と考えられるとのことです。

また古くからある漢方薬や浣腸を使い続けるのには批判的な報告が多く、またよく使われるマグネシューム製剤も長期に及ぶと高Mg血症などが生じ心電図に異常が現れることもあります。

食事や生活習慣の改善で軽症の便秘は直るでしょうが、悩んでいる人はかかりつけの先生によく相談してください。