メキシコ革命をめぐる実在の英雄パンチョ・ビラの半生を描いたのだが、まずス
タッフとキャストを見て驚く。ウイリアム・ダグラス・ランスフォードと言う人が書いた実話を基にした脚本が、メキシコならこの人というサム・ペキンパーと「チャイナタウン」でアカデミー脚本賞を得たロバート・タウン。撮影が「戦場のかける橋」でこれまたアカデミー受賞のジャック・ヒルドヤード、広大なメキシコの風景の中、戦闘シーンの迫力や大規模な空撮を使った攻防戦等見応え充分。音楽がモーリス・ジャール、音楽で映画の雰囲気を引き立て、スリングなシーンを盛り上げている。残念乍ら監督バズ・キューリックだけがB級臭いか。それでも歴史的なドラマとアクションを巧みに組み合わせパンチョ・ビラという人物の生涯を深く掘り下げている。
キャストは、ユル・ブリンナーとチャールズ・ブロンソンがメキシコ側に対し、アメリカからの助っ人がロバート・ミッチャムという三大スターの競演。
開巻すると、パンチョ・ビラの部隊と思われる古い写真がセピア色で流れる背景に、モーリス・ジャールの音楽が、いつもの交響楽的サウンドでないボレロ風なスローなテンポで流れ、終わると銃器商人の米国人リー・アーノルド(ミッチャム)運転の複翼機が飛んでいる。メキシコ政府軍と銃器取引するため着陸するも革命派のパンチョ・ビラ(ブリンナー)、副官にフィエロ(ブロンソン)率いる一派に捕われてしまう。ブリンナーがいつものスキンヘッドでなく、豊かな髪の毛と髭の姿には驚くが、しかしアーノルドが飛行機を所有していることに眼をつけ彼を味方に引き入れる。
ビラ側は、政府軍が謀略の限りを尽くしても、政府軍に対する憎しみ度を倍増さ
せるがため攻撃を遅らせるとか、捕虜を一人一人壁を越えて逃げ遂せないものを銃で射ち殺すとか残虐行為をしながらも自由のための戦う正当性といった疑問点もあるが、自由のために戦うビラの反乱とその意義や人間としての行動の複雑さを掘り下げて描いているとみられる。アーノルドが革命軍に加わり、飛行機を利用し、作戦は順調に進んで行ったが、この勝利を喜ばないマデロス大統領(アレクサンダー・ノックス)から革命軍総司令官に任命されているウエルタ将軍(ハーバート・ロム)とが相容れない存在となって関係が複雑化してくる。
最終的には、ウエルタ将軍がマデロス大統領を暗殺するが、これから1年4か月後アーノルドも加わったビラの軍隊がメキシコシティに凱旋した。
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