諏訪湖の旅   (大学時代クラスメート 飯田武昭)

先週、信州の諏訪湖周辺を数日間うろついてきました。さしたる目的地もなく、諏訪湖の観光花火を観て、諏訪大社の8月1日の遷座祭(お舟祭)※の前々日に、

春宮と秋宮に参拝し、甲州道が中山道と交わる地点などを散策して、老舗そば屋「山猫亭」で天ぷら蕎麦を賞味しました。

翌日は天候が良さそうで気温も左程高くならないことを確認し、霧ヶ峰にバスで登り八嶋湿原の板道をゆっくり散策し、可憐に咲く草花や蝶を見て楽しみました。その次の日は諏訪湖岸の間欠泉の温泉玉子を食べながら、北澤美術館での特別展(エミール・ガレ没後120年記念)とサンリツ服部美術館を鑑賞するなど、猛暑を避けて屋内で過ごす時間を増やしました。

とてもKWV諸兄の北アルプス連峰の旅とは比べ物にならないのんびり無害な旅でしたが、2度夕食に出掛けた「すみかまど」のメニューはどれも手ごろな値段で美味しく、サービスも控えめで丁寧と、やたらと居酒屋が多いこの街ではラキーな出会いでした。

関西では“びわこ(琵琶湖)”という単語をしょっちゅう使うので、今回は“すわこ(諏訪湖)”という単語が直ぐに出て来なくて、ついつい、“びわこ“と先ず間違えて言ってしまうことが多く、後期高齢をしみじみ感じました。

※(2月1日に春宮にお遷しした御霊代(みたましろ)を神幸行列を以て再び秋宮へ御遷座する神事です。この遷座の行列 に次いで青柴で作った大きな舟に翁媼の人形を乗せた柴舟が御頭郷の氏子によって春宮から秋宮へ曳行されます)

(編集子)本稿の解説を読んで思い出したのが、最近読んだミステリ小説、”アマテラスの暗号” である。この本は、以前本稿で紹介したことがあるが、高木彬光の傑作(と勝手に思っているだけかも)”成吉思汗の秘密”、古くは英国推理小説黄金時代に書かれてこのジャンルの嚆矢といわれている ”時の娘” と同じように、故事を現時点で史実或いは事実としてわかっている事物と比較し、別のテーマを追求したものである(その結果、小生は高木に賛成して成吉思汗は平泉の館から脱出してシベリアにわたった源義経の後身だと信じている)。この本は高木の作品とは比較にならないほど多くの史実、写真、文献を提示して、天照大御神に始まる我が国創立の過程にユダヤ教にまつわる史実が重なることを説いた本であり、衝撃的なものだった。例えば、僕らのレベルでわかることで言えば、京都のある古刹の家紋(というのか、要は其の寺の印)が、あのダヴィデの星(ナチ支配下のドイツでユダヤ人が常に身に着けることを強制された、あの印)である、と言ったような数多くの事実がこれでもか、というくらい写真などとともに明らかにされる。また、飯田兄が言われているものではないが諏訪の有名な神事がユダヤ教で行われるプロセスと全く同じであるとか、遷宮という儀式がそっくりそのまま、ユダヤ教のしきたりと同じである、と言ったことが列記される。この本自体は一応ミステリの形をとってはいるが、全く異種の読み物として、知的興味満々、一読に値するものだった(正直 気味が悪くなった)。寝られない猛暑の夜、お勧めの1冊である。琵琶湖にはこういう話はないのだろうか。