「アラモ」放映とは当然あのジョン・ウエインが製作、監督、主演した「アラモ
1960」とばかり思って観たが、あれから44年も経った2004年に製作されたジョン・リー・ハンコックという監督の作品だった。
登場人物は殆んど変わりないが、最近新しい映画を観ていないこともあり、過去の有名な俳優に比較し、現在の俳優の役名と顔がなかなか一致しない。人間ドラマとして、サム・ヒューストンの指導力や勇気、ディヴィ・クロケットのユーモアと勇気、ウイリアム・トラヴィス大佐とジム・ボーイの対立と協力等が描かれているのだが・・・。
俳優名を新*旧で表示すると、サム・ヒューストン(デニス・クエイド*リチャード・ブーン)、ディヴィ・クロケット(ビリー・ボブ・ソートン*ジョン・ウエイン)、ジム・ボーイ(ジェイソン・パトリック*リチャード・ウイドマーク)、ウイリアム・トラヴィス(パトリック・ウイルソン*ローレンス・ハーヴェイ)等。メキシコ軍が東西南北から砦を突破し、アラモ守備隊は壊滅する。180名の義勇兵が数千人の独裁国メキシコ軍隊に対抗するべく自由と独立という目的のために一致団結し命を捧げる、そのシーンに、旧作を観た20代では大いに感激して観たものだ。しかも今回は「Remember Alamo」を旗印に、サム・ヒューストン率いるテキサス軍が、メキシコ大軍が分割した隙を突き一気に報復を開始し、18分でサンタナ将軍率いるメキシコ軍を敗北させ、テキサスを独立に導く
場面にまで至るのだった。それでも80代の後半にまで至った者には、20代の感激は遠い昔になってしまった。その要因と考えられるのは、テキサス併合後カリフォルニア州やネバダ州等アメリカ合衆国原型の成立や、その後のスローガンRemember Pearl Harbor や Remember World Trade Center 等きな臭い挑発の手口が頭の何処かにあるからかも知れない。
(編集子)新聞のテレビ欄にあった記事でデニス・クエイド主演、とあったのでジョン・ウエイン版とどう違うか、楽しみにしていたのだが、吹替になっていたので気分が載らず、結局最初の部分だけでスイッチオフしてしまった。小泉さんが言われるように、新旧の配役の比較をどうしてもしてしまうし、今回のフィルムで多少馴染みがあったのはクエイドだけだった、ということも気が載らない原因だったかもしれない。このあたりが、映画、ではなくエーガ、といいたい年齢の限界かもしれない。
出張でテキサス州オースティンへ行くことがあり、例によって週末をごまかしてサンアントニオまで行き、”アラモ” の現場である伝道所(教会なのだと思っていた)は見てきた。ウエイン版の映画だともっと大規模な建物かと思っていたのだが、意外に小さかった記憶がある。しかしやはりそれとなく厳かないわば鎮魂、と言って雰囲気が、なんだか強制されるような妙な気持ちにさせられたものだ。サンアントニオというのはテキサスの砂漠の中の殺風景な街だと思い込んでいたのだが、水もあり、柔らかな感じのするいい街だった。たしかマックイーンのゲッタウェイもこの街が背景にあったのだと思うのだが。
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