民法改正についての一一考 (普通部OB 船津於菟彦)

今日の朝ドラ「寅に翼」は離婚後の親権についてだった。今国会で共同親権など民法改正について議論されている。離婚後の子供の幸せは——。

母が父と同じように子に対して親権者と呼 ばれる地位を得るようになったのは、西洋の 歴史においてもそう古いことではない。父権 から母を含む親権へと初めて改められたのは 1900年から施行されたドイツ民法においてであった。しかも、母が父と同じ権利を行使で きるようになったのは、20世紀に入ってしば らく経ってからのことである。

旧民法は、親権について、人事編第 9 章「親權」第 1 節 子ノ身上ニ對スル權第149条に、 「親權ハ父之ヲ行フ 父死亡シ又ハ親權ヲ行 フ能ハサルトキハ母之ヲ行フ 父又ハ母其家 ヲ去リタルトキハ親權ヲ行フコトヲ得ス」修正案第890条「未成年ノ子ハ其家 ニ在ル父ノ親権ニ服ス」は旧民法人事編第149 条「親権ハ父之ヲ行フ」に修正を加えたもの であった。

現行法では、明治民法が母の親権に加えた制限を一掃し、共同行使の不適当な場合に父 母のいずれを親権者とすべきかの決定は、明治民法のように「家」を標準とせずに、専ら 子の福祉を基準として定むべきものとされた のである。

現行法 第818条 1 項第818条 3 項「成年に達しない子は父母の 親権に服する」 「親権は、父母の婚姻中は、 父母が共同してこれを行う。 但し、父母の一方が親権を行 うことができないときは、他 の一方が、これを行う。」フランスでは1970年法により、親権 概念が「父の権力」から「親の権威」へと用語が変更され、ドイツでは1979年の配慮権法 により、「親権」に代わり「親の配慮」とい う用語が導入された。また、イギリスでは、 子に関する親の法的地位が後見であったのを、 1989年法により、「親責任」という概念を導 入した。

戦後公表さ れた統計では、当初は夫を親権者として離婚 する場合が過半数を占めてきたが、1966年(昭和41年)に妻を親権者として離婚する場 合が過半数を占めて逆転して以降、現在に至 るまで年々その件数は増加し、最近では約 8 割に達している。そして、この離婚母子世帯 の経済状態は、著しく低く、その原因の 1 つ に離婚後の非親権者の父から子どもへの養育 費の支払が滞りがちであるという事実がある。親権法改正の基本指針 の 1 つとして、離婚後の両親の「共同親権」の原則化を提案している。

明治時代
家父長制のもと婚姻中も離婚後も「親権」は父親
戦後
個人の尊厳と男女平等の理念から婚姻中は「共同親権」
離婚後は子と暮らす方が単独で親権を持つべきとし「単独親権」に2000年ごろ子どもに会えない別居親たちによる「離婚後共同親権」を求める。

改正案は今の国会で成立し、2年後の2026年までに施行される見通しだが、DVや虐待が続くことへの懸念が根強いことから、参議院でも、運用上の課題などをめぐって議論が行われる。両方の同意が無いと子供は修学旅行にも行けないかも知れないとか、父母は離婚しているが子どもに対する親権は双方とも有しているため、子どもに対する教育方針が異なることがあり得る。色々危惧あり。一番に考えなくてはならないのは、子どもの利益だが、共同親権の制度導入が、子どもにとってベストであるかどうか考える余地はありそうだ。

共同親権のメリットについては、親権を有することから子育てに関わり続けるため養育費が支払われやすくなることや、面会交流がスムーズに行われやすくなる等、考えられる。本来、離婚しても、親と子どもの関係は変わらず、親が子どもを気にかけて、子どもの養育をしっかりと行ってきていれば、単独親権か共同親権かという問題は起こらなかったのではないだろうか。共同親権で解決できるのかしら。基本は子供の幸せのはずだが。