ゴジラ(1954年公開)は、戦後直ぐの生まれ(1946年)
の僕らの世代にとっては1950年代、「力道山」
とならぶヒーローだった。戦後の混乱の中で、
日本映画を世界に認めさせた黒澤明監督の「7人の侍」
が公開された同じ1954年に、
奇しくも最初のゴジラ映画が公開された。映画館で観た時(
当時9〜10歳)度肝を抜かれたのを覚えている。
ゾクゾクして不安を搔き立てられたテーマ音楽が印象的であった。
https://youtu.be/2fJrN5R7Yns?t=2この最新ゴジラ映画はモノクロ版で、大袈裟に言えば黒沢映画「羅生門」「7人の侍」以来の快挙かも知れないと買い被って、そう思う。
「7人の侍」はハリウッド映画「荒野の7人」(The Magnificent Seven)として1960年、リメイクされ公開、更に続いて、第2作、第3作、第4作と続き、2006年には同じ題名「The Magnificent Seven」が公開された。しかし、リメイク作品はどれもオリジナル作品「7人の侍」の足元に及ばない出来栄えであったかと思う。
もう一方の雄「ゴジラ」も続編が頻繁に作られ、「ゴジラー1.0」は国産の実写映画としては初代から数え30代目の生誕70周年記念作品となる。ゴジラ映画はアメリカ製が数作公開されたが、評判は芳しくなかった。ゴジラの故郷日本で、満を持して最新技術の3DCG (3 Dimenntional Computer Graphics – 3次元空間のコンピューターグラフィクス) を駆使したVFX(Visual Effectsの略:視覚効果)映画として、山崎貴(たかし)が監督を務めた。着ぐるみがメインだった、1954年の第1作「ゴジラ」から2004年の第28作目までと比較すると、VFXを駆使した前作第29代目「シン・ゴジラ」と今回の第30作目は、その映像表現が飛躍的に進化しており、ゴジラ自体の臨場感溢れる表情&迫力に留まらず、戦後の焼け跡からの復興期の日本をリアルに表現していて、嘘っぽい街の描写に苛まれずに観れたのは、大きな進歩で、それだけ映像を楽しむことが出来た。
1946年夏、南太平洋のビキニ環礁で行われた米軍による核実験「クロスロード作戦」により、その近海にいたゴジラは被曝し、体を焼き尽くされたが、それによってゴジラの細胞内でエラーが発生し、その身体は背丈50.1メートルまでに巨大化する。そのゴジラが日本を襲うのだ。ゴジラは「背びれ」だけを海面に出し、もの凄いスピードでターゲットに向かっていく。焦土と化した戦後すぐの日本に、ゴジラは深海から突然現れ相模湾から上陸して鎌倉を、そして銀座を破壊し尽くす。恐怖さえ感じさせるゴジラの”本物感“と街の“実態感“には唖然とさせられる。演出と細かい描写に見惚れてしまうが、ゴリラは破壊的な一種の天然のカリスマ感があり、美しい。