エーガ愛好会 (237)地下室のメロディ を巡って

(金藤)10月は 未鑑賞の「地下室のメロディー」を観ました。

テーマ曲はCMにも使われていてよく耳にした曲でした。
刑期を終えて出所した歳をとったギャングのジャン・ギャバンがカンヌのカジノの地下金庫から巨額の売上金を盗む計画を立て、実効役に以前刑務所で出会っていた若くてハンサムで身のこなしが軽いアラン・ドロンを誘い、計画を実行に移します。 アラン・ドロンがダクトを這っているシーンを観ていて、昔、このシーンだけTVで見た!記憶が甦りました。他のシーンは観ていませんでしたから、ハラハラする部分もあり、最後は? あらあら まー 。
ところで「地下室のメロディー」という題名はどこからつけたのでしょう?
地下室の というより、ストーリーの進行中、場面の切り替え毎に効果的な曲の使い方をしていると思いました。
さて、それより、先月この欄で書きました、愛好会の皆さまの間で話題になっていた映画というのは、この「地下室のメロディー」ではなくて、「死刑台のエレベーター」だったのではないかと思います。 勘違いしていたのに今、気が付きました 。

(安田)味のある何とも男振りの素晴らしいジャン・ギャバンの引き立て役だったような少し薄っぺらく見えたハンサムボーイのアラン・ドロンでした。59歳と28歳では貫禄の違いは如何ともし難いか

(船津)題名もおかしいし。二人の有名俳優の割にはつまんねーエーガ。

(編集子)これほど落差のある感想も珍しい。ご両人の年齢が逆なような。

(金藤)この映画ではジャン・ギャバンの落ち着いた風格とアラン・ドロンの軽い若者の役柄が対比していて私は面白く思えました。 最後のプールサイドでただ座って見ているばかりのジャン・ギャバンの様子は可笑しく思え、この二人の名俳優が主演で軽い映画もちょっと洒落たユーモアのある映画に思えました。 私が軽いからでしょうか?

(安田) 「死刑台の・・」の音楽を担当したマイルス・デイビスのトランペットは極上でした。彼のトランペットを聴くだけでも価値あり。闇に落ちた不安を気怠いトランペットが雄弁に奏で恋人二人の運命を語っている。この映画でデイビスとジャンヌ・モローは恋仲になったそうです。

(編集子)小生もやっこと同じ、”死刑台のエレベータ” とごっちゃになったまま見て、気がついたお粗末。フィルム・ノワールについてはいろいろと感想が違うようだが、小生はなんといっても同じギャバンものの 現金に手を出すな がよかったなあ。音楽も下っ端のすむパリのやるせない毎日という、このテーマの雰囲気にフィットしていた気がするけど。これがモダンジャズじゃあだめだったよな。マイルス君、ごめん(あんたのCDはよく聞いてるけどね)。
ちょっと話がずれるけど、”悪魔の”
と同じころでた、”サイコ”。新聞の広告合戦がすごくて、よし、午後はさぼって日比谷へ行こう、と張り切って教室へ行ったら、その階全部の教室の黒板に サイコの犯人はアンソニー・パーキンス です! と殴り書きがされていたことを思い出した。やはり、若者みんなエーガ、の時代であったのだな。高あく、あらあたに、生きんかなあ!なんて言ってた頃だ。ところで早慶戦はどうなったんだっけ?