エーガ愛好会 (225) ブラック・ライダー 

人が主体の出演者の映画。黒人俳優のシドニー・ポワチエが監督兼主演の異色映画で歌手のハリー・ベラフォンテが名演。ストリーは南北戦争後の黒人解放後のセイブの原住民も疾走もお決まりしあるモノの異色映画で人種差別と原住民のこの時代の扱いなどが描かれている。
南北戦争直後、自由を求めて米南部ルイジアナ州から西部にやって来た黒人移住者たちは、彼らを元の農園に引きずり戻そうとする無法者の白人グループによる略奪・暴行・殺害の被害を受けていた。移住者たちのガイドを務めているバック(シドニー・ポワチエ)は白人グループのリーダーであるディシェイに執拗に狙われながらも、移住者たちを守るために必死に戦っていた。そんなある日、巡回牧師を名乗るラザフォード(ハリー・ベラフォンテ)はバックと知り合い、成り行きからバックを手伝うことになる。
バックとラザフォードは協力してディシェイを倒し、さらにバックの妻ルースやインディアンたちの協力を得ながら、何とか追っ手を追い払うことに成功し、黒人移住者たちは無事に目的地に到達する。
シドニー・ポアチエとハリー・ベラフォンテという往年の二大黒人スターによる異色の西部劇。どう見てもベラフォンテの味のある存在感がポアチエを喰っている。演技の眼力が凄い。
内容は本当に興味深くて、南北戦争が終結して黒人が自由になった訳だが、差別というものがすぐに消える訳じゃなくて、南部から西部に移動しようとする黒人を取り締まる連中がいたのだった。それを邪魔したり黒人を支援する人を黒人役のシドニーポワチエが演じる。南北戦争物はいくつも描かれているが、この背景は全く知らなかった。
差別モノは「アラバマ物語」も然りだが、シドニー・ポアチエの出世作の「招かざる客」に比較すれば俳優も少ないし、監督が新味を出そうとしてムリしているところがあったり、総て荒削りで今一の映画だが、観て居てけ付こうハラハラするし、巡回牧師を名乗るラザフォード(ハリー・ベラフォンテ)が中々の名演だと思う。バックの妻ルース(ルビー・ディー)が三人が馬で疾走シーンも中々いけるものだった。

(小泉)Buck and the Preacherが原名。西部劇には、時折主人公の名前が其の侭題名になるが、Jesse Jamesや Buffalo Bill のように知られた名前なら良いが、知られていない名前となると有名人でも「地獄への道」とか「西部の王者」とか考えて邦名を付けるのだから、当然のように名前以外の邦名を考える必要になる。今回も「バックと伝道師」を「ブラック・ライダー」とは、英語乍ら適切な題名を付けたものと感心したものだ。

 南北戦争直後、南部ルイジアナから西部へと自由を求める黒人移住者が白人の偏見や暴力と戦いながらも目的を達成するまでを描く西部劇。主人公バックをシドニー・ポアチエが扮し、監督迄兼ねている。伝道師ラザフォードは、バナナ・ボートで有名な歌手ハリー・ベラフォンテが扮し、無精ひげや歯を汚したりして、とてもベラフォンテとは思えなかった。バックの妻ルースにルビー・デー、白人無法者のリーダーにキャメロン・ミッチェル等が共演する。

 当時南北戦争後のアメリカは奴隷制度が廃止されたものの働き手を失った農場主は秘密結社や賞金稼ぎ等ならず者を雇い、黒人たちを連れ戻そうとする。その黒人たちを助けるのが、元北軍騎兵隊軍曹現道案内人のバックと伝道師と称するラザフォード。本来人種差別を訴える深刻な題材なのだろうが、黒人が善、白人が悪、それにインディアンも絡んで、黒人の味方をすることになるのだが、単純に黒白対決というだけでも面白い。黒人たちが貯め込んできたお金が盗まれると銀行強盗に転じたり、岩山での銃撃戦等アクション場面も豊富で楽しめる。バックと伝道師の漫才的掛け合いも愉快。最後は目的地に辿り着くのだが、一時カナダまで行くことまで考えたバックはその妻ルースに、こんなことまで言われていた。「こんな国は嫌。戦争をしても何も変わらなかった。大地に悪が浸み込んでいて、毒されている。カナダがダメなら海の果てへ歩いてでも行くわ。」当時の黒人差別が際立ったセリフだ。