エーガ愛好会 (208) 武器よさらば  (42 河瀬斌)

米国軍中尉ヘンリーがイタリア戦線で負傷し、病院入院中に看護婦キャサリンと恋に落ち、妊娠を告げられる。しかし退院後戦争で従軍で尽くした前線の医師が理由で銃殺されるなど、理不尽な戦争に嫌気を感じて脱走、キャサリンと共にボートでスイスに逃亡、平和で幸せな数ヶ月を過ごす。しかし出産で母子とも帰らぬ人となってしまう。
ロックハドソンとジェニファージョーンズの主演でしたが、その先中尉はどうなってしまうのか、後を追って戦死してしまうのか、脱走で銃殺されるのか?そこで映画は終わり、アメリカらしく悲惨な結末を避けているので、現実の戦争の残酷さを伝えるための「武器よさらば」のタイトルは、消化不良に感じました。
 現実のウクライナの戦争はもっと理不尽で、容赦のない戦争ですね。病院や学校がミサイル砲撃されるなど、第二次世界大戦よりさらに戦争の倫理が失われています。この戦争はベトナム戦争と同じだと感じます。戦場にならない大国が武器を補給し、戦場となった愛国心を持った人々が独立を求めて勇敢に戦っているからです。終戦まで後3年はかかると思いますが、強大な軍隊を持ちながら理由のない戦争にいやいや駆り出されて嘘の報道に気が付いた国民が負け、最後は国の独立という強固な意志を持った国民が勝つ?のも、ベトナムと同じだと思います。

(安田)ヘミングウエイ30歳の時(1929年)に執筆した原作小説「A Farewell to Arms」の直訳の邦題がそのまま映画の邦題になっているが、この映画から25年前(1932年)に公開された同じ原作を基にした映画の邦題は「戦場よさらば」になっている。なぜなのか?「武器よさらば」は「戦場よさらば」のリメイクなのだ。

1932年版はゲーリー・クーパーが主役を演じている。1930年制作の、彼がマレーネ・ディートリッヒと共演した映画「モロッコ」も観たが、日本の年号では昭和5年と7年の映画、90年以上昔だ。映像は勿論、白黒で映画の成否はシナリオの面白さと俳優の存在感が勝負の決め手だったと思う。この視点で観れば、個人的な好みだが大根に近いロック・ハドソンの「武器よさらば」はゲーリー・クーパーの「戦場よさらば」には全く敵わない。
第一次世界大戦時代、ヘミングウェイ自身の、イタリア戦線の従軍記者時の体験をもとにしている戦争恋愛物語だという。
映画としての面白さにはイマイチ欠ける感が否めなかった。看護婦のジェニファー・ジョーンズは「黄昏」「慕情」「終着駅」を知るだけに物足らなかった。イタリア映画「自転車泥棒」「終着駅」の名監督ヴィットリオ・デ・シーカがイタリア人軍医役として出演し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのにはビックリした。
(菅原)
この映画を見てない奴が偉そうなことを言うな、ってお叱りを受けるでしょうが、E.ヘミングウェイの小説「武器をさらば」は大変、面白かった。誠に見事なハードボイルドだと思います。
それに較べ、監督(C.ヴィダー)も俳優(特に、R.ハドソン)も極めて凡庸で、恐らく、ヘミングウェイのヘの字も表現出来なかった愚作だったんでしょう。
優れた文学作品の映画化は誠に難しい。勿論のことその逆の場合もあるんでしょうが。
(船津)
全く美男美女が出てロマンチックは良いが最後はなんだかなぁ。固唾を吞みながら観てガックリ。
(編集子)ひところ、ヘミングウエイに凝った時期があった。ヘミングウエイ入門というか、初めて読む人が多いのは 老人と海 か 誰が為に鐘は鳴る だろうか。僕の場合は鐘、のほうだったが、読み終わって間もなくエーガも見た。バーグマンが話題になった大作だったが、ごく普通の作品、という程度の感想しかない。武器よさらば、も本を読み終わってから映画をみたが、こちらのほうがいろんなシーン、特に病院でのカットが心に残る。鐘、のほうが言い方は変だがポジティヴな死に方なのに、こちらは一種の諦観の末に来る、というような感じだろうか。どういうものか機会を逸して、評判のいい 老人と海 のほうは見ていない。 ついでに言うと、ヘミングウエイの中では 海流の中の島々 という作品が一番好きなのだが、今日調べてみるまで、映画化されているのは知らなかった。またDVDが一枚増えそうだ。