本木雅弘が、1996年に青木新門著『納棺夫日記』 を読んで感銘を受け、青木新門宅を自ら訪れ、 映画化の許可を得た。
しかし、その後、脚本を青木に見せると、舞台・ ロケ地が富山ではなく山形になっていたことや物語の結末の相違、 また本人の宗教観などが反映されていないことなどから映画化を拒 否される。本木はその後、何度も青木宅を訪れたが、 映画化は許されず、「やるなら、 全く別の作品としてやってほしい」との青木の意向を受け、『 おくりびと』というタイトルで、『納棺夫日記』 とは全く別の内容で、別の作品として映画化。 映画の完成までには本木と、 本木の所属事務所元社長の小口健二の働きは大きい。 本木雅弘の執念の映画か。
しかし、その後、脚本を青木に見せると、舞台・
すじは「年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。 旅のお手伝い。NKエージェント!!」 この求人広告を手に「NKエージェント」 を訪れた元チェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)は、社長の佐々木( 山崎努)から思いもよらない業務内容を告げられる。 その仕事とは、遺体を棺に収める“納棺”という仕事だった。 戸惑いながらも、大悟は妻・美香(広末涼子)に仕事内容を偽り、 納棺師の見習いとして働き出す。アカデミー外国語映画賞を受賞した国際的に高く評価された滝田洋 二郎の監督。
チェロ奏者の夢に挫折して故郷の山形に妻と共に戻って来た主人公 ・・新しい職探しの中で遺体を棺に納める『納棺師』 の仕事を知り、見習いとして働き始めるのだった。誰もが迎える避けては通れない最後の儀式・・ そこに纏わるさまざまな人間模様を描いた感動の作品である。本木雅弘と広末涼子の夫婦間の葛藤と家族愛そして傍を固める山崎 努、余貴美子、笹野高史のベテラン俳優たちがとても好いのです・ ・面白かった。
公開時に話題と成って居たが、特に観もせず、 今回NHKBSTVで録画したが直ぐには観なかった。 兎に角素晴らしい映画でした。何が。
まず出演者が素晴らしい本木雅弘は初々しさとたどたとせしさが見 事演じられている。 妻役の広末涼子は何とも可愛らしいこんな皮膚感で演技するとは。 そして脇役を固める個性溢れる人々は何とも言いがたい名演。
峰岸徹。余貴美子。吉行和子。
人は何時の日か必ず永遠の訣別を迎える。 そして日本では納棺という事も大事な儀式として死者を旅立たせる ように死に装束をさせ、手甲脚絆、衣服、笠、 三途の川の渡り賃などもたせて死化粧をさせて皆で送る。
親族は悲しみに暮れ居てる中での「儀式」この仕事も大変であり、 ある意味では「神の仕事」かもしれない。 エンドロールでその動きをあたかもお能のような仕草で流れている のは印象深い鳥海山がバックに見え酒田の街並みと風情もマッチしてよいところ をロケ現場にしたなぁとおもった。
(安田)「おくりびと」封切り時に映画館で観ました。随分前のことです。それまで「納棺師」なる専門職の存在、そしてその仕事内容をほとんど知らず、特に死に装束の段取りなどに大変驚きました。鳥海山を仰ぎ見る酒田の自然と街並みの美しさが印象的でした。主役がチェロ弾きだということでオーディオ製品も登場しますが、僕の勤めていた会社の製品を撮影に貸し出しました。そこのところは注意して観ました(笑)。この映画を観て数年後に母親が故郷九州で他界しましたが、実家での「おくりびと」が死に装束を施す行程を何とも表現のしようのない気持ちで見届けました。映画ではない現実のこととして実感させられました。
木本と広末もさるものでしたが、山崎努、余貴美子、笹野高史のベテラン脇役は見事な演技と役割で映画を締めていました。NHK番組「ファミリー・ヒストリ―」の語りをやっている余貴美子の語り口が大変気に入っています。山崎努は黒澤明映画「天国と地獄」の誘拐犯役で大いに注目。40年後の演技を観るのはイイモンですね。笹野高史は、藤沢周平作・山田洋次監督の「武士の一分」が忘れがたい。彼は昔から老けて見えますが、実は僕より2歳若い。余人を以て代えがたい役者ですね。