コロナ情報についてー追加   (34 船曳孝彦)

先日、12報を発したばかりではありますが、自分でGo-To政策に乗ってしまった手前、批判し難くなったので消化不良の文となってしまいました。

隠れキリシタン五島列島の旅をGo-Toの関係なく計画したところ、旨くGo-Toにはまったものというエクスキューズはあり、これほどの急増が始まる前でしたが、新型コロナ感染防止対策としての‟自粛“に反したことに違いはありません。でも敢えてGo-To政策批判をしたいと思います。

この新型コロナウィルスの第3波感染急増に対抗策は何かと言えば、

  • 飛沫感染予防に3密を避け、マスク着用し、手洗い・消毒
  • エアロゾル感染を防止するため大声での会話を避けソーシャルディスタンスを保ち十分な換気をする(会食自粛)
  • 人の移動が感染拡大につながる(学問的にも証明済み)ので外出自粛
  • 感染した場合の受け皿として医療体制の確立

といったことが叫ばれる一方で、経済が回らなければ社会が成り立って行かないからとGo-Toトラベル、Go-Toイート政策が始まった。Go-Toにはどうしても警戒感の緩みが伴ってしまい、感染症対策にはブレーキがかかってしまうことが当初から指摘されていた。感染の波が収まったタイミングならともかく、「勝負の3週間」というのは単なる掛け声としか受け取られておらず、この12月に入ってからの感染者数増加している時期は、一時中止なり延期すべきというのが常識ではなかろうか。

テレビでは旭川市の日赤院長が「医療崩壊が迫っている」と必死に訴えており、次のニュースでは日本医師会の見直し要望もあり、なんと‶政府“の検討分科会自体までもが必死に中止を訴えているジャストこのタイミングで、ネット番組の取材に対して、首相が「ガースーです」とお道化て「見直しは全く考えていない」と明言したことは許しがたい。

旭川では基幹病院にクラスターが発生し、他の病院でカバーし合う体制がとられてはいるが、A病院の分娩をB病院に依頼し、C病院では手術予定が先送りが決まっている。コロナ患者を入院させようにも空きベッドが殆どなくなってきている。一般の癌患者、心臓病患者、外傷患者も入院できない。医師、看護師は大幅に不足し、過重な労働、危険を冒して頑張っている。これこそ医療崩壊そのものではなかろうか。

さらに報道されるのは、医療職員のボーナスが減額される、支給されないという事態。激務に耐え、違法とされる超過勤務をこなし、自分が感染してしまう危険を乗り越え、さらには危ない病院で働いているからと世間で嫌われ(家族までもが不当な差別を受け)、本来それに見合うようなボーナスが出て当然であろう。そうであるのに逆に収入が減ってしまうという理不尽は許されてよいのだろうか。常識的に狂っているとしか思えない。日本とはそういう国かと世界の人々はあきれるだろう。

医療施設は、院内発生などなくとも、手術を始め患者減とコロナ対策費用増で、大幅減収(私に聞こえてくる話では1割から5割)で、病・医院の規模によっては閉鎖が迫っており、確かにボーナスを払える財政ではない。 提案として、

①増額された合理的ボーナスを支給する(払いきれない分を公表する)

②当該施設で払える額との差額は国で補助する。

遅れて支給されるようになるのは仕方ないとしても、この理不尽を解消するのは国民全体の責任(すなわち国:税金)だと思う。医療施設に働く人たちは、Go-Toトラベルで温泉に行くこともできず、Go-Toイートでフレンチを食べることも出来ません。Go-To政策で一部の人たちに国費が使われているのに、コロナ対策の「キモ」となっているところへ使われないとは、なんと情けないことであろう。

もう一つ政府のコロナ対策での問題点は、PCR検査を『行政検査』として検査権、既得権益に拘ったことで、有症状者、濃厚接触者に限定しての検査に、私は早くから異議を唱えてきたが、ウィルス学・感染症学の専門家や臨床医の批判、果てはWHOやアメリカに避難されようとも、基本的に検査拡大に抵抗してきた。PCR検査は私が現役のころ、指導大学院生の研究で導入したほど古く(20年以上前)、既に一般的な検査であるにも拘らず、一般で行われれば精度の問題を信用できず、偽陽性・偽陰性患者が世に溢れ、医療機関が破綻するという子供だましの理由で、永く認められてこなかった。検査には偽陽性・偽陰性は付きものであり、たとえ偽陽性者が病院受診しても本来非感染者だったら再検査により早急に否定することが可能であり、偽陰性者(本当は感染していても陽性と出なかった軽症ないし無症状者)が制限なく町中を歩き回り危険であるというが、検査をしていなくても歩き回ることに変わりない。

検査のランニングコストはおそらく1000円以下に抑えられるので、国から補助してでも、1000円か2000円で、誰でも何回でも何処でも受けられる検査として、何千万人も検査すべきだと、私は早くから言ってきた。山梨大学が始め、やっと最近、東京駅近くに2000円でだれでも希望者が検査を受けられる施設が出来、那須塩原市では市民に1000円で検査するという。数か月前から検査を受けたい人の要望に沿う形で、一部で2万円以上で検査する施設も出てきた。国が指導して体制作りをすべきだったのに放置したことで、格差が出てしまった。また恐ろしい話だが、陽性者を届け出る義務が定められておらず、非医師が検査している施設があるという。いずれにせよPCR検査を広く行い、無症状感染者を洗い出すことが必要である。

実は昨日、ここまで書き上げて夕食の時、首相が突如『12月28日から1月11日までGo-Toトラベル全国一斉停止』なる発言をしたとテレビで報じられた。前の「全く考えていない」発言から3日しか経っておらず、この停止期間も意味不明である。27日までなら行けると旅行に出かけ、会食(忘年会シーズンでもあり、クリスマスでもあり)しようという反応は当然起こるであろう。このところの3000人に及ぶ新患者増加で決断したと述べているが、本気でコロナ対策を考えているとは思えない。内閣支持率が落ちて不支持率に逆転された(毎日新聞12日世論調査)ことで慌てて考えたものであろう。