自分の牧場を持つことを夢見る青年ラット(ドン・マレー)が、徐々に野心を燃やすようになり、酒場女で娼婦のキャリー(リー・レミック)と知り合い、彼女が大切に貯めてきた資金を元手に土地を買い、トム(スチュアート・ホイットマン)を相棒に、牧場経営に成功して行く。キャリーと親しさを増すことで、彼女と懇ろだった町の有力者イエフ(リチャード・イーガン)との関係が怪しくなってくる。ラットの牧場は、銀行頭取のコンラッド(アルバート・デッカー)の引き立てもあり、順調に推移し、その姪(パトリシア・オーエンス)と結婚することになった。しかし、別の娼婦と結婚することになった相棒のトムを誹謗したことから仲違いし喧嘩別れしてしまう。
トムは馬泥棒に身を落とすことになり、イエフ達からリンチを受け死んでしまう
やら、イエフに殴られたキャリーが大怪我する等支えとなってくれた人々の不幸な出来事が続く。イエフの悪どさに怒ったラットは、人々から出世に逆らうことから、やめろとの説得を振り切り、酒場でイエフと殴り合うことになった。劣勢になったイエフが、ラットに向け銃を向けたと同時に、イエフは銃声に倒れた。キャリーがピストルを構え立っていた。当然皆が見ていることからキャリーの正当性は疑えないにしても、内心ラットはキャリーを弁護することを誓うのだった。
以上があらすじ。野心ある若者は、ナイーブで腕に自信もなさそうだし、早撃ちでもなく、銃は殆んど撃たない、最後に酒場で殴り合いをする程度。西部劇の爽快さは求めようがない。それでも開巻から、また途中でも、原題名の主題歌がハリー・ウオーレンの歌で唄われると、これぞ西部劇とも思える。主人公は、かって世話になった娼婦と出世した現在の地位との狭間で悩むのだった。西部劇ではあるが、それまでの単純な強い男のアクションから現代的なドラマを扱った西部劇に転換を試みた作品と言えるだろう。
監督は、SF特撮で名を残したリチャード・フライシャーで、恋愛、ギャング、戦争、歴史スペクタクル等あらゆるジャンルを手懸けた。主演のドン・マレーは「バス停留所」でのモンローとの共演が有名。リー・レミックは「酒とバラの日々」でアルコール依存症を演じた。パトリシア・オーエンズは「サヨナラ」でマーロン・ブランドの婚約者を演じていた。
(編集子)見るつもりだったのが用にかまぇて見損なった。リチャード・イーガンに テーブルロックの決闘 以来会える機会を逸したのが残念(この映画にはあのドロシー・マローンがいたこともあって彼の陰影のある演技がよかった。
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