麒麟が歴史大河物語の題名にもなった「麒麟がくる」であるが、テレビ放映は観ていない。主人公の明智光秀についてはこれまでの大河ドラマでも観ていたし、書物も読み馴染みがあり、もはや興味があまり湧かなかったからである。4人の先輩方々の投稿記事を拝読して悔やんだが後の祭。光秀が治めた比叡山麓・琵琶湖岸の坂本(竜馬の祖先の出身地といわれる>>坂本性の由来)、丹波の福知山などでの評判はすこぶる良かったことが知られている。ドラマでは謀反の動機をどうのように描いたのか知らないが、信長(享年49)より10歳近く年上と伝えられ、老齢からして天下を獲るのが目的であったとは到底考えにくい。
日本歴史上の最大の謎の一つが本能寺の変であろうし、キリシタンとなり関ケ原前夜自決した細川ガラシャの父親としても光秀はよく知られた存在だ。 主演長谷川博巳の光秀演技に “絶賛の嵐” と新聞で読む。詳細は見ていないわけだが、泰平の世をもたらす、或いは泰平の世に現れる動物が麒麟だとすれば、光秀は信長が構想し、秀吉が築城し、家康が入城したといわれる戦国時代英傑3人の必然の歴史的筋道の最初のプロセスを壊し、行程を先に一歩進め二人目の秀吉にバトンを繋いだ歴史的役割を果たしたのは間違いない。その意味では麒麟に値する存在でもあったのだろう。
歴史には “if” はないが、信長が暗殺されず天下統一していれば日本のその後はどうなっていただろうか?衆目の一致する、300年近い世界でも稀有な戦争なしの徳川泰平の世と、高い識字率に裏付けられた爛熟した町人文化が産まれたかは分からない。はたまた、鎖国>>開国>>明治維新>>文明開花・富国強兵>>日清・日露戦争>>第二次世界大戦敗戦>>経済発展>>現在の低迷・沈滞の流れはどうなったのであろうか?
いずれにしても、光秀と同時代に生きた家康によって始まった江戸時代が、現在の日本と日本人の文化・価値観を形成するほどの影響を与えたのは間違いない。麒麟到来の端緒を開いた一人として光秀の役割も決して小さくはない。
余談だが、正月にNHK番組「ヒューマン・ヒストリー」を観た。女優鈴木京香と結婚が噂される、光秀を好演した長谷川博巳がゲストであった。長谷川家は先祖が1300年前に鳥取の大山の麓にある大山寺の開祖とも伝えられ、また有名な名湯島根県・玉造温泉の重要な役職を歴任し、温泉旅館の経営にも携わった由緒ある家であるとのこと。大山登頂後、大山寺は下山途中に立ち寄った古刹であるし、玉造温泉も素晴らしい湯を満喫した思い出もあり、やはり長谷川博巳の「麒麟がくる」を観るべきであったと後悔至極であった。
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