.
(小泉)冒頭「ハリー・ケリーの思い出に献ぐ。彼は古き西部の空に輝ける
ピーター・B・カインの原作は「恵みの光MarkedMenn1919」としてケリー主演で映画化、それ以前にも、191
主演の3人は、ご存知ジョン・ウエイン、メキシコの大スター ペド
物語りはアリゾナ州境の町ウエルカムで、三人の男が銀行強盗を働
クリスマス興行用と言われるくらいに、聖書を基に、東方三博士を
いずれにせよ人間の善性の輝きを歌いあげてのエンディングで、
(小田)皆様の詳しい解説にはとても助けられました。激しい撃ち合いも無く、少し安心して観ていられました。
(安田)キリスト教徒であれば物語が聖書に則ったことはすぐ分かるのであろうが、宗教色はそれほど強くなく、むしろ穏やかに優しく物語が流れていく。マッチョでたくましい大男ジョン・ウエインが小さな乳飲み子を抱えている西部劇は見るだけでほほえましい。今まで祈ったことがないような無法者が、無垢な赤ん坊を守るうちに聖書の言葉に心が動かされていく過程が見どころのひとつだ。
脇役で光っていたののは、ジョン・フォードのファミリー一家と言っても良いほどのジョン・ウエインの盟友・名脇役 である、ワード・ボンドである。この機会に数えると、「静かなる男」「駅馬車」「拳銃の町」「ダコタ荒原」「アパッチ砦」「捜索者」「リオ・ブラボー」などでジョン・ウエインの名脇役を演じている。更に「ヨーク軍曹」「我が家の楽園」「風と共に去りぬ」「怒りの葡萄」「マルタの鷹」「素晴らしき哉、人生!」「荒野の決闘」など名画あるところに名脇役ワード・ボンドありで、大変楽しませてもらった。肥満気味であったが1960年57歳の早過ぎる鬼籍いりであった。
(小川)素敵なエーガでした。小泉兄の名解説を読んだ後で観たのでより素晴らしかったです。
“西部劇というよりは、ヒューマニズム溢れる人情ドラマで、” 実にその通りでした。これはKWV必見ですね、情景については勿論非常に美しかったで
駅馬車を思い出すバックミュージックもよかった。
“ロバート・ウイリアムス・ペドロ・ハイタワー、あばよ” のウエインはまだ若かったね。
(金藤) Giさんの「見てよ!」のお勧めです、観ました!西部劇?でこのような展開は初めてです!三人のゴッドファーザー、 優しかったですね!
(編集子)ジョン・ウエインはハリウッドで下働きをしているところをラオール・ウオルシュに見いだされ、 Big Trail に主演して西部劇俳優としてスタートし、ジョン・フォードがかの 駅馬車 に抜擢、その後西部劇のキング的存在になるのだが、フォード監督による作品は アパッチ砦・黄色いリボン・リオグランデの砦 といういわゆる騎兵隊三部作、リバティバランスを射った男 捜索者 騎兵隊 それとこの 三人の名付親 だけである。ウエイン西部劇、といえば1920年代からあるのですべてあげるのは不可能だが、我々の年代では ほかにも 赤い河 エルドラド スポイラース チザム リオ・ブラボー 勇気ある追跡 エルダ―兄弟 ウエインの遺作になった ラストシューティスト などなど数多い。ただこれらの作品の監督は ハワード・ホークスとかヘンリー・ハサウエイ、それと後半には親友だったヴィクター・マクラグレンの息子、アンドリュー・マクラグレンなど、大まかに言ってしまえば大作・活劇的なフィルムを得意とする人たちで、作品そのものにもアクション、派手なガンプレイなどの、言ってみれば西部劇の代名詞、といえるファクタが前面にでてくる。それだけに上記のフォード作品(と、主演はフォンダと違ったが小生にとってのベストフィルム 荒野の決闘 を加えて)との差というか隔たりは明確である。小泉さんはヒューマンな西部劇、という表現をされたが、どれをとってもこの形容詞はフォード―ウエイン作品に共通するものだろう。
またこの作品も、フォード一家、といわれた常連が顔をそろえているのが楽しい。わき役陣に騎兵隊三部作などの常連だったヴィクター・マクラグレンがいないのが寂しいが、ベン・ジョンスンもきっちり顔を出している (なおもう一人、名前が確定できない常連がいるのでご存じの方があればご教示願いたいのが、この作品ではラバの扱いで苦労し最後はウエインを護送する役の禿の老け役、赤い河 にも出たし、捜索者では先住民のとの戦いで正気をなくしてしまい、いつもゆり椅子に座っていた陽気な老人を演じた人)。ハリー・ケリー親子については上記小泉さんの文章に詳しいが、かの 赤い河 で苦労の末、アビリーンにたどり着いたモンゴメリ・クリフトと牛の取引をする親分的人物がハリー・ケリー・シニアであったことを付け加えておこう。フォードはこの先輩に敬意を表して、作品の名前を思い出せないがほかでも同じような役で出演してもらっている。このアビリーンという町は本作品ではその息子のジュニアが強盗をやって手配を受けている、という設定になっているのが面白い。西部に鉄道ができた初期は開拓の最前線だったところで、ほかにもダッジシティとかツームストーンやサンタフェ、エルパソなどと並んで西部劇ではおなじみだ。
小泉報告にあるように駅馬車が来る場面ではずばり ”駅馬車” の有名な主題歌のメロディ(原題は Bury me not on the lone prairie ということになっているが、例によってウイキってみるとさらにそのもとは Ocean Burial という水夫の歌らしい。ま、どっちにしても良いものはいいやね)) が流れるが、この作品での主題的旋律は ジョニー・キャッシュも歌っている Street of Laredo である。この歌詞は ラレドの街で白い布に覆われた若いカウボーイの葬列に逢った ということから始まる。負傷がもとで死んでしまうハリージュニアにかぶさって響いてくる旋律だった。歌詞はこういうで出だしではじまる。
As I walked out in the street of Laredo,
as I walked out in the street of Laredo one day
I saw a young cowboy wrapped in white linen
Wrapped out in white linen as cold as the clay ……
小生が高校時代、初めて聞いたのは当然キャッシュではなく、もう少し古いものだったと思うが、すり切れた古いSPからスクラッチノイズと一緒に流れた旋律がとても印象に残っている。聴いた時の精神状態にもよるのはもちろんだが、なんともいえない哀愁が突き刺さる旋律だった。