コロナ第三波の危険性について   (34 船曳孝彦)

ご質問がありましたので、ウィルス学の専門医ではありませんが、今回はVirusの遺伝子変異と第3波流行の危険性を中心に私見を述べます。

日本をリードしている感染症専門臨床医、感染症疫学の専門家が、最近そろって新感染者増加、爆発的増加の危惧を訴えています。

実際、スペイン、フランス、イギリス、イタリーなどヨーロッパでは可成りの再上昇が報じられ、悪性度もやや高い可能性もあります。早くからCOVID-19のVirusは変異しやすい(RNAが変異しやすい)ことは指摘されてきましたが、現在では細かく見ればおそらく数千に及ぶような多種多様な亜系に分かれているものと思われます。ヨーロッパの新しい感染の波が、どのような種類なのか。それが問題です。各国別々のVirusかもしれません。

今の流行を第3波と呼ぶのか、2波か4波か、スペイン風邪のようにはっきりと命名出来ないのではないかと考えます。コロナ型Virusなので、短期間で次々と変異しすぎし過ぎるので、今や世界中に別々のVirusが蔓延しており、Virusが変異して第何波と名付けることは無理なのではないかと考えます。日本でも世界各地でも、流行し、いったん収まりかけ(あるいは収束した)た後に再流行する傾向が見えますので、これが第2波。次に再流行すれば第3波として扱わざるを得ません。

そうすると、日本にとっては、どのようなVirus株が第3波を起こすのかで、大袈裟に言えば運命が分かれます。伝播力は強いが病原性はそれほど強くない今の日本での流行株ならまだよいのですが、病原性の強い(悪性な)株が大流行となれば大ごとです。武漢のVirus、日本の5月のVirus、9月のVirus、フランスの3月のVirus、9月のVirus、ニューヨークの8月のVirus、韓国のVirus、 それぞれがどう違うのか、ウィルス学的研究が追い付いていません。

全世界がワクチンに期待をかけています。感染症学会ではこの過剰期待に懸念を示しています。ワクチン投与による抗体依存性感染増強という恐ろしい副作用の可能性はともかく、もともとワクチンには一生涯有効なVirusから数か月の有効期間しか得られないVirusまで、さまざまなものがあり、新型コロナVirusはどれなのか、まだ分かっていません。

ワクチンの有効幅を超えるほどの変異は起きていないだろうとは思いますが、Virus株が異なれば、ワクチンは有効か?通用しないという場合も考えられないではありません。とくにこれから海外との人の往来が本格的となります。日本の患者からのVirusをもとに開発せねばならないということもありうることです。杞憂に過ぎなければ結構です。

新首相は検査体制を整備すると明言しました。しかし、おそらく鼻咽頭ぬぐい検体で数時間かけてのPCR検査を行うことに固執するような気がします。そして無症状者への対応は相変わらず厳しいでしょう。Go-To-政策で1兆円を上回る巨額の国費をつぎ込むより、検査体制(無症状者への検査料減免等)にお金をかけるべきではないでしょうか。高級ホテルに1万円で泊まれ、ビジネスホテルに予約が入らないというのはおかしくないですか。保健所に任せられている多種の仕事の分散も未だはっきり出てきません。

第3波の大流行は明日にも始まりかねないのです。罹らない、罹らさない対策を自分で強化、護ってゆくよりほかありません。