またまた”ラプソディ”の話 (44 安田耕太郎)

(高橋良子の投稿から映画 ”ボヘミアン・ラプソディ” はKWVOB会仲間のあいだで一種のブームのようだ。まだまだ、”またまた”の知らせが来るのを楽しみにしよう)
遅ればせながら自宅近くの二子玉川でこの映画を観た。当日はiMax劇場のみ開演でど迫力の音響シャワーを浴びた。現役時代に納めた自分が勤務する会社の音響製品のサウンドを楽しんだ。
アカデミー賞主演男優賞を獲得したクイーンのフレディ・マーキュリー役の男優ラミ・マレックはエジプト人両親の二世としてアメリカ生まれ。最後はエイズで45歳で亡くなったフレディはグループの最年長で僕と同年1946年生まれ。同世代のロックグループということで若い時から聴いて知っていたグループだ。
両親はインドからの移民でタンザニア沖のイギリス保護領ザンジバル島生まれ。アフリカの東海岸には南アフリカに至るまでインド人移民が多い。古代ペルシャ発祥のゾロアスター教徒。生後まもなく両親の故郷インドに移り幼少期を過ごす。ピアノを習う。17歳の時一家でザンジバルに戻る。だが翌年ザンジバル革命勃発、身の安全を考えイギリスに移り住む。
クイーンのデビューは1973年のフレディー27歳の時。映画でもハイライトされた1985年の旧ウェンブリースタジアムにおけるライブエイド・コンサートの翌年のラストツアーまで27歳から40歳まで一番脂の乗った時期に活躍した。
日本公演も行っており、親日家であり来日の度に新宿二丁目通いをしてゲイバー「九州男」を贔屓にしていたとのこと。彼の稀有な才能はボーカルのみならずクイーン楽曲の大半を彼が作曲していたことからも伺える。代表作「ボヘミアン・ラプソディー」「伝説のチャンピオン」の作詞・作曲両方も手がける。映画ではこの二曲に「ウィ・ウィル・ロック・ユー」が素晴らしかった。
ロック曲の中にあって、恋人メアリーと愛を語る時に流れたサン=サーンス作曲の「サムソンとデリラ」、そして違った場面で流れたドビュッシーの曲のクラシック音楽が静謐な雰囲気を醸し出して格調高く印象に強く残った。それにしても現代の映画作製技術には恐れ入る。ライブエイドコンサート旧ウエンブリースタジアムの10万人の観衆の興奮、歌声、音響、動作、演技を、過去の映像を含め全てシンクロナイズさせる手法などは朝飯前のレベルに現在はあるのだろう。主演のラリ・マレックの演技は口パクを含めてなかなかのものだ。
余談であるが、クイーンの伝記映画の主演男優がアカデミー賞を獲得したが、
2010年「英国王のスピーチ」(原題: The King ‘s Speech)で吃りのジョージ6世を演じたコリン・ファース、2014年 不世出の物理学者ホーキンス博士のの伝記映画「博士と彼女のセオリー」(原題: The Theory of Everything)で博士を演じたエディ・レッドメイン、更に2017年  「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」(原題: Darkest Hour) のチャーチル役ゲイリー・オールドマンがそれぞれ主演男優賞を獲得している。全てイギリス人やグループを描いた映画である。過去10年間で4人。大変な快挙だ。全て観たがそれぞれ個性豊かな俳優の名演技が光っていた。クイーンは同世代のミュージシャンとしてクリーム(エリック・クラプトンetc), ローリング・ストーンズ(ミック・ジャガー)などと同じようによく聴いていたので、映画も娯楽として楽しめた。次のイギリスの伝記映画となれば「ダイアナ妃」であろうか?