トルクメニスタンを走ってきました   (41 斎藤孝)

「突厥」「とっけつ」と読む。そこは「突厥の世界」だった。
「突厥」とは「テュルク」のことである。すなわちトルコ人であり「トルコ人の世界」といえる。トルクメニスタンは突厥帝国の末裔である

カラクム砂漠
ウズベキスタンの大河「アムダリア」を渡りウルゲンチから国境を越えた。
トルクメニスタンは初めての訪問である。
首都アシハバードまでカラクム砂漠を4輪駆動車に乗り悪路を走破した。
途中「地獄の門」を見物するためである。砂塵が吹きまくる荒涼とした僻地。
その夜はカラクム砂漠でガラオイ天幕の中で一晩過ごした。
暗闇のカラクム砂漠は満天の星座に包まれ月は煌々と輝いていた。

夢を2つ見てうなされた。
その一つは地獄に落ちる夢。真っ赤な炎に包まれたクレーター、「地獄の門」そのものである。 いま一つは天国に昇天する夢。「天国の門」をくぐり抜けると若き天女に囲まれた。 トルクメンの踊り子が影絵のように写る。幻想的な夢だった。

 「地獄の門」
1971年の天然ガスの採掘事故以来、真っ赤な炎が燃え続けている。
これは世界遺産でも何でもない。むしろ地球を汚す負の資産といえる。
吹き出したガスの炎が火口に広がる巨大な穴である。イスラム教でも地獄に落ちると火に灼かれのだろう。 「地獄の門」は新たなトルクメニスタンの名所になっている。まもなく燃え尽きるだろう。

 「天国の門」
 「安息」「安息日」、サバトなのか? ユダヤ教に関係があるのか?

現代の「トルクメニスタン」にあった国名「安息国」である。「安息」はパルチアの中国名である。司馬遷『史記』にも「安息」という名前を見つけることができる。今日のパルチアは民族も様変わりしてトルクメン人の国になっている。

万国博パビリオン

真っ白な大理石のパビリオンが点在する。 人通りもまばらで、人々はまるで人形のように歩いていた。 トルクメニスタン首都、アシハバートは万国博会場といった感じだ。 この世の天国をアピールしているようだ。
建物は白色、車も白一色、道路は直線、異様な雰囲気の街並みである。
街行く人々も同じような服装、男は黒色の背広姿、女性は色鮮やかな民族衣装を着ている。 怪しげな新興宗教を信じこむ操り人形達、ゾンビのようで気持ちが悪い。

トルクメニスタン皇帝
朝テレビをつけると大統領「セルダル・ベルディムハメドフ」の顔と従う軍幹部の顔が写った。 忠誠心を強調して拍手していた。世襲制で皇帝のような振る舞いである。 全体主義で強権国家。もし北朝鮮が豊かな国ならば、トルクメニスタン帝国のような独裁国になっていだろう。
トルクメニスタンは豊富な石油や天然ガスを埋蔵しているという。
面積は日本の約1.3倍、人口は約610万人。お金持ちの国である。

●続編  「突厥の結婚式」と「メルブ仏教遺跡」


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