人間グーグルの異名をもつKWV44年卒安田耕太郎君が仲間内に披露した、彼の若き日に書いたという、カサブランカ の感想文を巡って賑やかな論戦になった。ま、いくつになっても男はロマンを追う夢を捨てきれないようだ。
(大学クラスメート 飯田)「カサブランカ」の感想文を拝読しました。ところで、「カサブランカ」に匹敵する恋愛映画の名作として挙げられている、「哀愁」と「ローマの休日」にも全く異議はありませんが、3本共にモノクロ映画なので、彩を添える意味でもカラーの恋愛映画の名作にも時には、思いを馳せたいと思います。思い付きですが「めぐり逢い」(1957年、デボラ・カー、ケイリー・グラント)、「愛情物語」(1956年、タイロン・パワー、キム・ノヴァック)辺りを是非入れたいと思います。
「めぐり逢い」は分別の備わった大人の男女のストーリーで、デボラ・カー、ケイリー・グランドの美男美女が主役ですし、「愛情物語」はピアニスト・エディ・デューティンの半生を描いた映画ですが、大根役者と言われていたタイロン・パワーと一世を風靡したキム・ノヴァクなのと2本ともに音楽も良いと思います。私はタイロン・パワーは「壮烈カイバー銃隊」「長い灰色の線」「陽はまた昇る」で存在感があって、決して大根役者だとは思っていないのですが・・・。
(普通部OB 船津)どれも確かに悲恋・恋愛エーガですね。ローマリ休日はローマ観光映画。「巡り会い」はニューヨークエンパイヤーステートビル宣伝映画ですが、デボラ・カー大ファン。良いなぁ。「愛情物語」はピアノが良いなぁ。「哀愁」も悲恋は悲しい結末でジエンドですね。大人の恋の物語ですね。光輝高齢者になっちやっとその俳優の渋さが分かる。
(安田)確かに、「めぐり逢い」「愛情物語」「慕情」を加えないといけませんね。「愛情物語」はショパン「ノクターン第2番」が、「慕情」は言わずもがな。「めぐり逢い」の音楽は印象に残っていません。
。そこで出演時のヒロイン女優の年齢を調べてみました。
・カサブランカ「イングリッド・バーグマン27歳。
・哀愁「ヴィヴィアン・リー」26歳。
・ローマの休日「オードリー・ヘップバーン」23歳。
・愛情物語「キム・ノヴァック」23歳。
・慕情「ジェ二ファー・ジョーンズ」36歳。
・めぐり逢い「デボラ・カー」36歳。彼女の「王様と私」は忘れ難いですが、バート・ランカスターとの波打ち浜辺でのラブ・シーンが印象的な「地上より永遠に」(当時31歳)も忘れ難い。
ヒロインの匂い立つ若さと、成熟した女性の魅力が際立つ6本の映画です。
ラヴ・ストーリーとなれば、もっと最近では、「ある愛の詩」のフランシス・レイ作曲の主題歌「Love Story」アンディ・ウイリアムス歌唱でも有名。
(HPOB 菅井)リストを拝見していて、個人的に何か足りないなぁと感じていました。それは、旅情「キャサリン・ヘップバーン」48歳(役の想定年齢は38歳!)
(安田)確かにアカデミー主演女優賞最多(4回)受賞者の大御所キャサリーン・ヘップバーンの「旅情}を外すわけにはいきませんね。
強面の人気映画
「第三の男」もアリタ・ヴァリを巡って、
恋仲だったオーソン・ウェルズ、次に友人のジョセフ・
コットンもウェルズの行方不明そして死去後からアリタ・
ヴァリに好意以上の感情を持ちアプローチ。
エンディングのウィーンの墓地のシーンで、
埋葬後コットンはヴァリを待ったが、
彼女は表情をかたくしたまま一瞥もくれず、
彼の前を歩み去って行った。グレアム・
グリーン小説と映画の結末は違い興味深いですが、
僕は映画の結末が好きです。
ぶれない生き様を見せつけるヴァリには、
やはり最後もぶれて欲しくはない。コットンさん、ごめんなさい!
(菅井)アリダ・ヴァリの本名はAlida Maria Laura, Freiin Altenburger von Marckenstein-Frauenbergという長い立派な名前でドイツ人貴族を表す”von”が付いており、男爵夫人という意味のFreiinが冠されている神聖ローマ帝国の男爵家の末裔で、オーストリア人、スロヴェニア人、イタリア人の血筋を引いていました(彼女自身はイタリア人であることを強く意識していたそうです)。
「第三の男」は彼女の代表作でジョセフ・コットンたちに一瞥もくれずに歩き去って行くウィーン中央墓地のラスト・シーンは強烈に記憶に残っています(これを映画史上最高のラスト・シーンと評価した評論家もいるようです)。個人的にはカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した「かくも長き不在」(Une aussi longue absence,1961)でのゲシュタポに強制連行されて行方不明になった夫を待つ(探す)パリのカフェのマダムの演技も素晴らしかったです。大きな瞳を持った目力の強い女優でした。
彼女は1964年にフランス芸術文化勲章、1990年にローマ第三大学から名誉博士号、1990年にはヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、2001年にはイタリア大統領からヴィットリオ・デシーカ賞を授与されています。
主題歌である「三つの小さな音符」(Trois petites notes de musique)を歌っているコラ・ヴォーケール(私が最も好きなシャンソニエールの一人)の歌唱も素敵です!
(編集子)小生にとっての 第三の男 のラストシーンは歩き去るヴァリでなくて、それを見送るコットンが煙草をまさぐるカットと、その少し前にジープでコットンを待っていたトレヴァ・ハワードが黙然と去っていくカットのほうが印象に残る。美女と恋愛も結構だが、このカットに漂う男の諦観というか、そういう描写のほうがいい。コージに反論するとすれば、最高のラストシーンはやはりヘンリー・フォンダとキャシイ・ダウンズの 荒野の決闘 の、あれだな。
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