世界情勢がぐらついているこの時期、日本にとってはある種の(言い方はおかしいかも)正念場であろう参院選が始まった。今度は新しい政党がいくつか登場し、その一つに興味を持っていて、候補者のポスターを見に行った。大体ポスター一枚の情報で個人を特定すること自体無理があろうが、すくなくとも比例区に党名を書こうか、位の関心があったからだ。
しかしこのポスターの中の該当する1枚を見て愕然としてしまった。この候補者j自身の確信なのか党是なのか、大きく ”これ以上日本を壊すな” という1行である。いまの日本は壊れているのか?
小生は昨今一種のはやり言葉になっているような ”失われた30年” というフレーズに以前から疑問を持っている。この論者の言い分は、乱暴に言えば、この30年の経済指標なかんずく賃金の上昇がみられない、というあたりが論拠のようだ。共産党だのレーワなんだのあたりにいわせると大企業が利益をため込んでいる、それを吐き出せばいいのだ、というまことにわかりやすい論議にいきつく。確かに企業の内部利益はかつてないレベルである。共産党の言うような(前時代的な概念の)資本家による策謀、であるのかどうか知らないが、これが強欲な外資による買収や干渉を防いでいることは事実だろう。USスチールやGEやそのほか、かつて世界の覇権を握っていた米国企業が危機に直面したのはこういう基本的な動作をわすれて短期の数字だけに狂奔してきたからではないのか、と思うのだ。この30年は失われた、どころか、日本を守り切った30年だったのではないか。
ま、経済学者やいうところの経営エキスパートの人たちに歯向かうつもりはないが、今の日本は壊れている、のか? 80年間の平和を維持しているこの国が壊れているというのか?これ以上壊すな、だと?
ポスターにかかれた1行の文句を、この候補者(偶々当選挙区では女性だが)が信じているのなら(個人名は別にきめてしまっているのだが)、俺はこの政党には投票しない。してやるもんか。
偶々今朝、このポスターを丹念に見る気になったのは、涼しいうちに用事はかたづけようと駅前のATMへ行き、行きつけの店で朝飯を済ませようと立ち寄ったらお目当てのクロワッサンがまだ焼きあがらず、コーヒーもアメリカンはまだ上がっていません、と言われてしぶしぶほかのメニューにせざるを得ず、せっかく来てやったのに、と不機嫌だったからだ。このポスターのことでさらに機嫌が悪くなった。
(普通部OB 船津)でも、史上最高のボーナスとか大企業は良いようですが、写友などの中小企業の社長は四苦八苦のようです。
良いか悪いか知らないけど、「我々の時代」は何しろ働きました。ナーも無いから。総て無から作るときでしたから。今のように物はあふれ何か欲しいものがあれば何でも作られている。時代は大きく変わりましたね。
農業政策もかっての「農協頼り」から自主的な農業へ転換しているのかも知れません。しかし、あの日本原風景の棚田はどうなるでしょうか。
物は売り手は高く、買い手は安く。これを連日対峙してきた我が身。三方何とかとかかっこよく言いますが、価格は難しいですね。
八幡製鉄の稲山さん等が中国へ手取り足取り製鉄のイロハから教えた國が今や世界一。いこわれてはいないが成長が止まっているのはではと。あのソニーがウオークマンを開発したりした精神は何処へやら。マンガとかのビジュアルの世界では伸びている。「ネタ」未だ未だ在る。頑張ろうニッポン。
(44 下村) もちろん日本は壊れていませんよね。 「壊すな」というフレーズ。単に目をひくための浅薄なキャッチフレーズと断言できます。
もっとも国と地方自治体の借金がGDPの2.5倍にも膨らんでいることから、油断すると破綻するリスクは抱えていますよね。だから石破さんも野党からの減税要求に対して簡単にイエスと言えなかったのでしょう。この点では私は石破さんを支持します。ポピュリズムに負けるなと。
「失われた30年」。バブル崩壊後、確かに経済活動は停滞し賃金も上がらず、就職氷河期を迎えてパートや派遣など非正規社員が増加してきたこの30年間。でも昭和初めの恐慌期に比べれば、企業の倒産や失業者もごくわずか。まして娘の身売りなどという悲劇も生じなかった30年間でもあります。
どうもテレビも新聞も前向きなニュースより、リスクや危機の到来を報じたがる傾向がありますね。その方が視聴率が上がり発行部数を維持しやすいからでしょう。
日本が壊れることよりも、むしろ私が心配しているのは「歴史は繰り返す」ということ。 世界各国が保守化し、ポピュリズムに煽られて自国第一主義に走り、戦前のような不安定な国際社会に入ってわが国が戦争に巻き込まれはしないかということです。
(42 河瀬)「失われた30年」は医師の目から見ると「不用意な規制に翻弄された時代」だったのです。
1990年は日本が最も豊かさを感じ、医療もオリンパスが内視鏡でドイツと世界を競っていました。しかし厚生省は医療の進歩よりも安全性を重視し、全ての薬に治験を科すようになり、さらに世紀末には『新しい医療機器を作成、改良する場合も、薬と同じ治験を適応する』という規制を作ってしまったのです。
薬の治験は何百億という大企業の資金が必要ですが、医療機器の会社の多くは手仕事で作る零細企業ですから、それらを負担することは不可能でした。そこで医療機器会社は先進的な医療機器の改革を全てストップさせてしまったのです。その一つにテルモが手がけ始めたカテーテル治療器があったのです。私は『カテーテルは今後の血管治療法』と考えていましたので、ことある毎に厚生省役人にその規制で日本の先進医療はストップする、と訴えたのですが、お役人はその後20年間「安全第一」を堅持して譲らなかったのです。
その20年間にドイツではオリンパスを追い抜き、テルモは手をひき、米国ではカテーテル治療会社が急成長しました。今では全ての血管の病気(脳動脈瘤、脳血管狭窄、狭心症、大動脈瘤、心臓弁膜症など)をカテーテルで治療できるようになり、そのほとんどを米国から輸入しなければなりません。現在は日本の健康保険がその支払いに追われています。
日本と米国との違いは何だったのでしょうか?それは1)日本の役人は医療を「大金がかかる厄介な支出」、米国は「いずれ収支が取れ輸出もできる収入源」という考えの違いなのです。
日本の健康保険制度は安く安全で世界に冠たる医療制度で国民の幸せを守ってきました。米国の『貧者を切り捨てる医療』とは違います。しかし現在では健康保険の支払いが十分でないために、沢山の大病院や大学病院が大赤字で危機に瀕しています。その世界に誇る健康保険制度を陰で支えてきた医療従事者の「働き方改革」も赤字の原因になっています。そして崩壊を起こす原因の一つに高額なカテーテルや抗がん剤の輸入があるのです。
「失われた30年」は、技術革新を目指す日本の企業を不用意な規制で止めた時代でした。
(44 安田)日米関税交渉に於ける日本側の赤澤亮正担当大臣は既に渡米7回して交渉しているが、トンネルの出口は見えていない。ステークホールダーの外野席に陣取る我々には交渉の進捗状況・争点・妥結への道筋の詳細は明らかにされず、両国は今奈辺にいるのかが分からない。交渉過程のビデオテープを是非観たいものだ。MLB大谷翔平の試合より面白いと思うのだが。
日本側はトランプの逆鱗に触れることを避けて交渉しているのだろうか?例えば自動車の両国間の輸出輸入量は消費財である以上、民間の国民が購買の決定権を有する。政府が介入してアメリカ車の輸入を抑えている事実はない。非関税障壁は最早存在しない。単純にアメリカ車が日本には合わない・魅力がない(燃費・サイズ・アフターサービス体制の問題など)だけのことだ。
この事実の正論を日本側はトランプにぶつけているのだろうか?トランプの反応は?トランプはそんな事実は百も承知でアメリカの日本車輸入量に匹敵する量のアメ車を日本は購入すべきだと、敢えて脅しているのだろうか?
とても先進2国間の高尚且つ真摯なレベルの交渉とは思えない。「海老(自動車交渉)で鯛(貿易赤字是正)を釣る」トランプ式ディールなのであろうか?敵は本能寺の作戦でディールの他の利を得ようと陽動作戦を展開しているのだろうか?
だから交渉過程をビデオで見てみたいものだ。
いずれにしてもトランプが日本車輸入関税を35%にすれば、自動車業界のみならず日本経済にとっても一大事となろう。安全保障面でアメリカの傘の下にある日本はアメリカには抗えにくいので、アメリカはそれを盾に理不尽な貿易面での要求もゴリ押しして来ているのだろうと思う。
ブーメラン現象でアメリカに多大なマイナスが追って発生することを予期しないのであろうか?遠慮深謀が欠けたトランプの戦略・施策と言わざるを得ない。が、そのとばっちりを避けることが出来ない日本の舵取りは短期的には難しい。
日本政府には泣き寝入りせず威風堂々とトランプアメリカと相撲を取ってもらいたいと思う。
(編集子)いつの間にか、小生の原文の”不愉快”が”不機嫌”に入れ替わってしまった。このほうが正解らしい。参院選のこともあるが、この”国難”に今の政権がどこまで対処できるのか。言っても詮無いことではあるが、安倍内閣だっらどんな対応をしただろう、ということもあるな。ここ数日、新聞の報告だけの話だが、どう見ても今のトランプ政治は長続きしそうもないようにも思えてきた。