2022年の年明けー 新しい ”国富論” へ    (大学時代クラスメート 児井正義)

昨年はコロナ禍を始め数々の国難に見舞われ、対応、自粛に明け暮れる不自由な生活を余儀なくさせられた一年でした。ただこの余暇を利して、多くの事に気付き、学ぶことが出来ました。日頃出来なかったことに取り組み、亦人生をゆっくり考える機会にもなり、決して悪いことばかりではありませんでした。

その中で、最大の収穫の一つが、テレビの番組を介して、マルクスの「資本論」と近年公開された彼の膨大な「研究ノート」を学習したことです。経済学部に学んだにも拘わらず、疎遠であった「資本論」の真髄に触れた瞬間にマルクスの卓越した解析力、慧眼と行動力に改めて敬意を表すると共に目から鱗が落ちた思いでした。「資本主義」のメカニズムを徹底的に解析しその矛盾や限界を明らかにした正に名著と云えましょう。

+今世界は「新市場主義]と云う名の市場原理主義が世界を席巻、世界全体の在り方を大きく変えて来ました。しかしこの資本主義の暴走の結果、私たちの生活も地球環境もめちゃくちゃになっています。社会の繁栄を脅かす数多くの危機、金融危機、経済の長期停滞、貧困やブラック企業、新型コロナウイルスのパンデミックと気候変動の影響による異常気象等々。中でも深刻な問題の一つが格差の拡大です。気候変動に代表される世界的な環境破壊も深刻です。マルクスはこうした資本主義の矛盾と限界について約150年前から予見していたのです。今こそ「資本論」は単なる学術論文ではなく、社会変革に向けた「実践の書」と解し、よりよい将来社会を構想するための実践的な道標になるのではと思います。

今年こそは新政権の下,直面する難局に凛然と立を向かうとともに、様々な異質のものを和やかに調和させ、共存を図りながら、穏やかで平和な日常の一刻も早い到来を祈りつつ、そのための実践的構築が求められているものと考えます。

かって梶山静六代議士が「政治の要諦は如何に国民の食い扶持を確保するかにある。」と語った由。この提言こそは我が国の豊かで平和な社会に向けて発展しで行くための努力を示唆するもので、前述の世界的な危機、課題に実践的に立ち向かい解決を図ることにあると思います。そのためにも「資本論」の示す道標が大いに役立つことでしょう。 具体的には、我が国は今でも勤勉で、天然資源の不足を補う知的資源を有するある意味豊で、伝統的な文化を持ち、美しい国土に恵まれた底力を有する世界に誇れる平和な国だと自負しております。

しかしながら前述した世界的な危機、深刻な課題は我が国にとっても全く例外ではありません。世界は今こうした課題解決に向けて「CDGS」18項目を標榜しております。この目標達成のために第4次産業革命が喧伝される中、続々と新しい産業が生まれて来るものと予想されます。そこに我が国の出番が生じます。持てる知的資源を結集してその底力を存分に発揮することで、新しい富を享受することになります。

一方この過程の中で国際的協力、共存が図られ新たな富・資産が生じます。日本版「国富論」と云うべきこうして蓄積された豊かな資産が国民の食生活の確保と「危機管理」を構築し、働き方改革に寄与し、格差是正を図り、自然環境の改善に貢献する等世界に範たる豊かな文化・文明大国として発展し、他国と協調して世界平和に貢献して行くことを確信し祈って止みません。