MCI について―認知症についての正しい理解 (1)  (普通部OB 篠原幸人)

 

東京や日本全国のコロナ発症数が急激に減少しました。余りの減少にお隣の韓国からは新政権誕生のためにPCRの検査数を減らしているのではないかという、訳の分からないイチャモンまでつく始末。

それにしても専門家も首をひねるような急激な発症数の低下は、決してワクチン接種率の高騰だけでは説明がつかないと思っています。前回の本稿で指摘した様に、日本にいるウイルスそのものが、生き残りのために感染力を低下させているのか、それとも過ってのSARSのようにこのウイルスに対しては日本人だけは抵抗力を持ち始めたのか、いずれ理由は分かるでしょうが、今後の第6波を出来るだけ抑えるためにも早期の解明が必要です。

さて今日のタイトルはMCIでしたね。MCIとはMild Cognitive Impairment(軽度認知障害)の略です。だれでも加齢とともに物忘れは起こります。皆さんも「眼鏡を頭にかけたまま大騒ぎをして探したり」、「いつも鍵や財布を探していたり」、「孫たちの名前を取り違えたり」、「テレビでみる顔をよく知っていた人物の名前がでてこなかったり」はあるでしょう。しかし、この程度のことは60から65歳以上になれば、誰にでも起こり得ることです。これだけでは認知症(昔の言葉で言えば痴呆)とは言いません。皆さん、安心してください。またご主人や奥様、ご両親などを「認知症だ」とあまり責めないでください。

まず、認知機能って何でしょう? 「物忘れ」だけが認知機能低下と思っている方――ブー―、間違いです。認知機能とは、記憶力・注意力・理解力・思考力・言語能力・計算力・視空間認知機能その他を含みます。そうです。 「うっかり反対側から来る車に気づかなかった」、「お釣りの額をいつも取り違える」、「普段通る道をまた間違えた」なども、全て認知機能に問題がある可能性があります。

次に認知症とはどんな状態でしょうか? 一口で言えば「脳に起こった障害により、以前は正常だった認知能力が持続的に障害され、今まで行ってきた仕事をするあるいは生活をすることが困難になった状態」を言います。難しい表現でしょうか?

MCIとは正常の老化と明らかな認知症の間の状況を指すのですが、当然ながらその線引きは専門家でもかなり難しいものとなります。

今日は一寸面倒な話が長くなりそうです。文章が長くなると集中力も低下しますよね。この続きは次号にしましょう。その間、「お前は認知症だ」とか、「あなたこそMCIのひどいのではないの?」とか、ケンカ?しながらお待ちください。