お名前!と適切な評価語彙     (大学クラスメート 飯田武昭)

「日本人のお名前!」を読んだが、“一昔前は、中原ひとみのナカに司葉子のツカサに青山恭子のキョウですとやって、結構面白かったが、昨今はいい方法がない。キョウは、ある時どこかの店で女子店員に教えられて深田恭子のキョウとやれば通じることが分かった” というくだりが特に気にいりました。

名前のことでは自分もご飯のハンと田んぼのタ、武士のブに昭和のショウと言ってきましたが、近年になって、武士のブと言ってはいるものの、武士は江戸時代まで遡る違和感があって、コロナで有名になった武漢のブとか大相撲の阿武咲(おおのしょう)のノと言ってやろうかと密かに思っている次第。さすがに阿武咲(おおのしょう)を漢字で直ぐに思い出せる日本人は100人中何人居るかと思いむしろクイズ問題かと思うレベルになりますね。

この所、皆さんの話題がジャン=ポール・ベルモンドの死去から「勝手にしやがれ」やトニー・ザイラー主演作などに展開していく間に、ちょっと再見したい映画を脈絡なく選んで観て、そこでの新たな感想です。

1)「白銀に踊る」(1961年)トニー・ザイラー、イナ・バウワー主演ですが、何といってもラスト15分で演じられるアイスショーは、そのレビュー構成、豪華な舞台装置、衣装などフィギュアスケート人気の現代に観ても楽しめるエンタテイメントだと感じました。惜しむらくは多分ストーリー展開の面でショーの演技を十分に映画で見せることに重きを置かずに、次々とカットを重ねている点が残念で、もっと見たいと思いました。

2)「草原の輝き」(1961年)監督エリア・カザン、ナタリー・ウッド、ウオーレン・ビーティ主演ですが、時代が1920年代後半の世界大恐慌前後のカンサスシティとイエール大学を舞台にした青春もので、エーガ愛好者なら監督がエリア・カザンだと分かってしまうくらい演出手法が明らかに前作の「エデンの東」に似ていているが、ナタリー・ウッドの綺麗さは「ウエストサイド物語」以上の佳作と思いました。

3)「ノックは無用」(1952年)リチャード・ウイッドマーク、マリリン・モンロー主演のサイコスリラーで、モンローが精神病を病む役回りなので、モンローファンにはあまり見たくない向きもあるが、この映画はマンハッタンの一流ホテルを舞台にしているだけに、アン・バンクロフト演じる歌手(リン・レズリー)がホテルのバーで歌う乗りの良い曲 “Manhattan”とバーカウンター周辺の感じが、当時のN.Y.の雰囲気を十二分に出していて改めて感心した。この曲“マンハッタン”はイントロが“ナイヤガラを巡る旅”で始まり、“マンハッタン、ブロンクス、スタテン島にも行ける、動物園も楽しいわ”と続く気持ちよい名曲です。

4)「現金に手を出すな」(1954年)ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチェラ、ジャンヌ・モロー主演で、意外にアクション場面が少ない佳作。ドロンとベルモンドのフレンチ2大スター時代より少し前の、眞にフレンチ2大スターと呼ぶに相応しいギャバンとフィリップ時代の代表作の一つ。

ところで、このような映画作品の評価の表現で、名作、傑作、秀作、佳作、などの呼び方がありますが、都度、どの表現が適切かと文学的表現力、語彙力に乏しい私は時々迷ってしまいます。秀作、佳作は割と使い易い表現ですが、傑作はちょっと違う感じがするし・・・・。

もう一つ、この際に知っておきたい私の長年の疑問に、近年の日本語に何とも不思議な単語が普通に使われていることがあります。

その一つはリベンジという単語。私の学生時代は確かRevenge(復讐)と英単語試験用に覚えてしまって応用動作が利かない単語の一つでした。またAthlete(スポーツや他の運動能力に長けた人)とこれも丸暗記した単語が、今や2語共に少し違った意味も含んで日本語として使われていて、覚える必要のある英単語がどんどん減っていく日本社会に違和感を感じながら生活しているのは私だけか、という疑問です。どなたか適切な解釈をして頂ければ有難いです。

(編集子)Revenge というのは日本人には使いにくい単語のようである。同じような意味で Avenge  というのがあって、”復讐” という行為を描写するには使い分けが必要になる。手元の辞書の例文を引用する。

He took up arms to revenge his deceased brother.

At the last moment Hamlet avenged the murder of his father,

つまり revenge は自分以外の誰かのために仇を討つ、という意味なので、忠臣蔵なんかを想起する。一方 avenge は、いわばこの野郎思い知ったか的場面で使うので、ワイアット・アープが弟ジェイムズ殺しでクラントンを射殺する、なんてシーンはいかがだろうか。かの松阪がプロデビューしたとき、たぶん高校時代果たせなかった夢の再現、というような意味でリベンジ、といい、能天気なマスコミは松阪の売り出しにと思ったのだろうかこのことを偉く好意的に報じたのは奇妙であった。有名なバミューダトライアングルで世界に誇る米国空軍の雷撃機小隊が消失してしまうという、現在までなお解決されていない事故があった。”未知との遭遇” ではこのパイロットが年を取らないまま(アインシュタインの相対性原理の結果とか何とか)帰還する。この雷撃機の名前は Avenger であった。Revenger では米国でなくほかの国のために敵艦を雷撃する、という妙なことになるわけだ。これまた、名前のお話。