”エーガ愛好会” (51)  かの ”哀愁” をめぐって

(41 相川)

「哀愁」 女性向と言わず 感動がありました。ロバート・テイラーは優男のようですが、この映画では自分の恋心に忠実に、軍隊の許可や家族の紹介に動く男らしさが 光りました。クローニン家の人に親切にされても クローニン家の人になれる身ではない とマイラ(ヴィヴィアン・りー)は心を痛め 悲劇の最後に。 霧深い思い出の橋での思いつめた表情には 鬼気迫るものがありました。

ヴィヴィアン・リーは 美貌と共に演技力の備わった女優といえます。消えていくキャンドルの中で 「オールド・ラング・サイン」が流れて踊る場面は 哀愁そのもの。「蛍の光」で日本でもなじみの曲です。この映画を見て古関裕而がワルツにアレンジして「別れのワルツ」となったようです。「Let me call you sweetheart」の曲で踊る場面も。この曲は学生時代にひそかに愛誦していました。この曲を2人で歌う恋がしたくて。叶いませんでしたが。

(42 保谷野)昨年、名作「道」を観て、「哀れなジェルソミーナ」と書きましたが、今回は「哀れすぎる、マイラ」と書きたい「哀愁」の感想です。

チビ太のNO1女優「ヴィヴィアン・リー」BS初登場ですね。ロバート・テーラとの傑作メロドラマ・・・何故か、昨年話題になった「慕情」と昔見た「旅情」をつい思い出してしまいます。前者は、ジェニファー・ジョーンズとウイリアム・ホールデン、後者は,,キャサリン・ヘプバーンとロッサノ・ブラッツィーのコンビでした。3名作とも悲恋がテーマですが、慕情と旅情にはある種の救いや希望があったのに対し、哀愁は、まさに「悲劇映画」・・・ハッピーエンドはムリにしても、もう少し何とかならなかったのでしょうか。さて、ヴィヴィアン・リー・・ジェニファー・ジョーンズと比べて少し地味な感じがしたのですが、これは、薄倖な女性を演じた故なのでしょうね。ロバート・テーラーとの美男美女コンビはやはり魅力ありました。

「名作はつまらないものと心得よ」と誰かの迷言?ではありませんが、「道」同様、楽しめた、というより「強く印象に残った」映画でした。

(41 久米)今日は大阪なおみとセリーナの対戦、私はHNK2での放送を優先して予想外のなおみちゃんの快勝に続いて録画した「哀愁」を観ました。

この映画は結末が悲しくて見る気がしなかったのですがヴィヴィアン・リーに会いたくて見ました。相手役の男優はロバートテイラー、良く間違えるのがタイロン・パワー、二人ともなんとなくにやけた感じの2枚目であまり好きにはなれません。しかしこの作品では美男美女、二人の目の色が同じような気がしました。

ヴィヴィアン・リーは夫になるローレンス・オりイヴィエをして想像を絶するほどの驚くべき美の所有者と言わしめるほどの美貌の持ち主です。、「哀愁」では可憐な役を演じていますが「風と共に去りぬ」「アンナ・カレーニナ」「美女ありき」では勝気な女を演じていて美しさと演技力を兼ね備えた素晴らしい女優だと思います。晩年は精神を病んだようですが大好きな女優さんです。あの狐のような目に引き寄せられるのでしょうか。

(44 安田)大作「風と共に去りぬ」でオスカー主演女優賞を獲得したヴィヴィアン・リーが、翌年1940年に主演した悲恋メロドラマ名画だ。「風と共に去りぬ」の乱世を生き抜く勝ち気で強い女性スカーレット・オハラ役から一転、か弱い哀れな悲劇のヒロイン踊り子を演じた。見事なコントラスト振りだ。

 

(ウイキペディア)モネは1871年以来、ロンドンを数度にわたって訪れている。その中でも、1899年、1900年、1901年の三回の滞在は豊かな収穫をもたらした。テームズ河畔のサヴォイ・ホテルのバルコニーに画架を据えて、モネは、国会議事堂、ウォータールー橋、チャーリング・クロス橋という三つのモティーフに焦点を合わせて描き続けた。この作品もそのような連作のうちの一点である。斜めに俯瞰構図で描かれたウォータールー橋は、僅かに赤味を帯びた色彩で描かれ、橋の上の通行人や馬車がロンドン特有の霧を背景に浮かびあがる。

原題「Watetloo Bridge」のテームズ河に架かるウオータールー橋は1817年の建設だが、フランス・ナポレオン軍を破った1815年のべルギー・ワーテルローでの勝利を記念して命名された。時は第一次世界大戦、兵隊として戦地フランスへ向かうロイ(テイラー)はウオータールー駅から汽車に乗るためこの橋の上を歩いていて、ちょうどドイツ軍の空襲を受け、そこで主人公2人は出逢い、安全な場所へと避難する。お互い一目惚れしてしまう。
フランスへの出征が運良く遅れ、2人は食事をする機会を得る。食事後クラブでダンスをするが、「別れのワルツ」(蛍の光)の美しい調べと共に余韻が残る名場面だ。主人公ロイはスコットランドの名家出身の設定。音楽「蛍の光」の原曲はスコットランド民謡。彼の故郷がスコットランドなので選曲されたのであろう。忘れ難い一晩の逢瀬ののち彼はフランスへと出征する。しばらくして彼女のもとへは戦死の報が届き失意に暮れるが、1年後、生還していたいたロイに出会う。

ロイは彼女をスコットランドの実家へ連れて行き母親に紹介し、「別れのワルツ」でダンスを踊って幸せに酔いしれるが、彼女のほうは名門の彼の家庭に身分のあまりに大きな相違を感じる。実は彼女は生活にも困り夜の仕事をして食い繋いでいたのだ。母親は直接的に言葉では表さず、彼女も事実は返答しないが母親の目には冷たい“ 懐疑的な気持 “が現れていると悟る。プロポーズされるが過去を拭いきれず、独り寂しくロンドンへ戻る。そして、ロイと初めて逢ったウオータールー橋で軍用トラックに身を投げる。

20年以上経て、ロイは再びフランス戦線へ出征する。彼女と初めて逢ったウオータールー橋に来て、彼女の言葉を独り噛み締めるのであった。

(編集子)小生も初めて英京を訪れたとき、さっそくこの橋を見に行った。覚悟はしていたが、映画での印象とあまりにかけ離れた光景で落胆したものだった。現代の大都市交通ネットワークに組み込まれてしまった歴史、といえばわが日本橋や 君の名は の数寄屋橋もそうだが(ついでに映画そのものについていえば、やはり ロバート・テイラー ははずれ。トレヴァ―・ハワード だったらよかったなあ、という印象だけど)。

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