コロナに関する講演を聞いて来ました (42 下村祥介)

昨晩、42年卒河瀬さんのお招きで映像学会によるコロナウイルスに関する講演を視聴しました(河瀬さんは本学会の副会長、会長は40年卒の林勝彦さん)。

講師はインペリアル・カレッジ・ロンドン(王立ロンドン大学)で免疫学専攻の小野昌弘准教授です。本内容について免疫学会など医療の世界ですべてが合意され認められているかどうかは不明です。小野先生の講演を下村の理解しうる範囲でまとめ、河瀬さんにチェックしてもらいました。これまでの実験や検証から得られた先生の知見ですが、まだ不明な点が数多く残っているとのこと。このことを理解した上で参考になさって下さい。

コロナの発症率

無症状の人が30%、軽症の人が60%、重症になる人5%、亡くなる人1%。9割の人がコロナにかかっても軽いか無症状ですんでいる。問題は重症になったり亡くなる恐れのあること。これにどう対処するか。

ワクチンの効果

ワクチンには大きな効果がある。ワクチンを接種した人と接種していない人との間では感染率にきわめて大きな違いがあることが分かった。検証の結果、ワクチン接種したほとんどの人は感染しなかったが、無接種の人はほとんどの人が感染したことが判明。

今のワクチンはイギリス型ウイルスには効果があるが、南ア型ウイルスに対しては効果が大幅に落ちる。ブラジル型に対する効果はまだ未解明。ワクチン開発は常にアップデートしていく必要があるが、コロナの変異に合わせてワクチンの構造を簡単に変えられる様に出来ているので、ワクチンのアップデートは容易。

ワクチンの副作用

現在、ワクチン接種による重篤な副作用は起きていない。米国では既に2,200万人以上の国民に接種されており、またイスラエルでは国民の50%以上が接種済み。今のところ生命に危険を及ぼすような重大な副作用は起きていない。

ワクチンの持続効果

ワクチンの効果が出るのは接種後4週間たってから。持続効果は半年ぐらい。

コロナ感染者の体内にできる抗体(体内に入ったウイルスの悪さを防いでくれるもの)の持続効果は8か月ぐらい。従って、感染が終息するまでは半年~8か月ごとにワクチンを接種する必要があると思われる。

変異について

新型コロナウイルスは頻繁に変異し、多種多様な型のウイルスが世界各地で発生している(イギリス型、南アフリカ型、ブラジル型など)。免疫がまたコロナの変異を助長する。イギリス型変異ウイルスの感染力が強いのは健康な細胞にとりつくための突起にあるSタンパクの変異が多数あるため。

アフターコロナの生活について

全国民のワクチン接種が終わり感染が終息に向かっても変異したウイルスは残り続ける。従ってコロナ以前のように無防備に自由に動けるようになるとは考えにくい。一定の予防措置を講じながらの制約を受けた生活になるだろう。

集団免疫は生れない

感染病は一般的に国民の6割~7割の人がウイルスの抗体をもつようになると集団免疫ができる。この結果、実効再生産数が減り社会的な広がりが抑制されて自然に終息に向かうが、新型コロナウイルスの場合は集団免疫が生まれない。

昨年ブラジルのある町では4月~5月ごろから感染が急増し、秋には市民の76%が感染したが、それでも今だに終息していない。当地では夏に当たるこの1月に感染が再発・感染者が急増し、集団免疫のできていないことが認められた。

これはウイルスの変異が頻繁に起こること、そして抗体の防御機能が長続きしない(持続効果がない)ことが考えられる。

重症化について

コロナ感染者の約5%が自分自身のもっている免疫細胞が過剰反応して臓器に障害を与えることで重症化する。重症化は免疫暴走(サイトカインストーム)で起こり、肺炎型、血栓型、血管炎型(川崎病様)の三種がある。重症化するかしないかは人によって大きく異なり、基礎疾患者が重症化する率の高いことは統計学的に分かっているが、医学的にはどのような場合に過剰反応し重症化するかについてはまだ解明されていない。     以上