還暦の年の槍ヶ岳からこれまで12年間、 S44閑人会は毎年夏から秋に山行を実施してきた。今年は9月下旬に四国の大塚国際美術館(6名) 剣山(15名) 石鎚山(18名) 道後温泉懇親会(20名) しまなみ海道サイクリング(11名)を楽しんだ。因みに槍ヶ岳以降行ったプランは有志のみ参加山行を含め、剣岳・立山、白神山地、富士山(2回)、キリマンジャロ、台湾玉山(新高山)、台湾雪山、ボルネオ島キナバル山、雲ノ平、白峰三山、四川省大姑娘山、白馬岳、熊野古道、白山、出羽三山と三田会夏合宿、春・秋W、浅貝詣、個人山行を加えると、結構な数だ。
安田を含めて6人は一日早く22日、鳴門の大塚国際美術館を観るため徳島へ。世界25ヶ国・190余の美術館が所蔵する西洋絵画1000余点をオリジナルと同じ大きさに複製し展示する陶板名画美術館。
システィーナ礼拝堂(ミケランジェロ)は建物内部も実物大で複製!陶器の板の上に焼き付けるレプリカとはいえ世界の名画が実物サイズで一堂に会する。原画展示とは異なるが、ダ・ヴィンチの同題の2つの異なる作品「岩窟の聖母」はロンドン・ナショナルギャラリー所蔵とルーヴル所蔵が並べられ、ミラノの「最後の晩餐」は修復前と修復後が比較展示されている。
原画と違い色彩の劣化や変化は2000年間はないとのこと。写真撮影OK、触ってもOK! 万歩計の数字は裕に一万を超え、き登山前のいい準備運動にもなった。夕刻には本隊も到着、総勢15人となる。夕食後、徳島が誇る阿波踊りを見学。
24日8時過ぎレンタカー4台で剣山に向かう。2時間走って登山口の見ノ越1420mに到着。10時半 登山開始。と言っても1750m地点までリフトに乗る。 頂上955mまで標高差205m、百名山では筑波山 伊吹山 大台ヶ原と並び、最も登り易い山のひとつである。
25日、西条駅前よりバスにて石鎚山登山口へ。西日本最高峰、富士山 立山 白山 大山 釈迦ヶ岳 大峰山と共に日本七霊山のひとつ。52年前の3月、笹ヶ峰から伊予富士 瓶ヶ森(吉野川源流)経由で頂上を目指したが、春のドカ雪で頂上直下二の鎖で断念。それ以来の雪辱戦。ロープウェイとリフトを乗り継いで、,300mの歩き出し地点・成就社に到着。霊山に相応しい佇まいを感じる。NHK「グレート・トラバース」でも紹介された人気の山、有名な一の鎖、二の鎖、三の鎖辺りは混雑を予想したが、三連休明けの平日で存外空いていてマイペースで登れたのは良かった。
痩せた稜線がおっかない最高峰天狗岳への挑戦を思案するも、霧で視界が悪い上に、時間も遅くなってきて断念する。周囲を露払い・太刀持の峰々に囲まれ、深山幽谷ともいうべき風景に胸を打たれる。下山は登って来たルートの反対側をその日の宿・土小屋まで下る。予定より遅く午後4時頃到着。山中泊ということで期待してなかった風呂に皆 大喜び!前日登った四国のもう一つの日本百名山・剣山が女性的な山容であったのと対照的に、霊山の神秘性を醸し出す石鎚山の男性的な勇姿とその懐を歩けた感慨を胸に早めに床についた。
翌26日、土小屋(1400m)から松山へ向かうバスの車窓から厳かに天に向かって聳える三角形の天狗岳の威容を堪能して松山道後温泉の宿に入る。
松山道後温泉で2人が加わり集団は20人に膨らんだ。午後は自由行動で、松山城、司馬遼太郎記念館、秋山好古・真之生家、子規記念博物館、道後温泉本館などに各自足を延ばす。夜の坊ちゃんの湯での懇親会では、卒業後50周年を来年に控え、仲間が健康で斯くも楽しく和む宴会が出来る幸せ感に浸った。
27日(6日目)朝、解散式後、11人はしまなみ海道サイクリングへ、予讃線・今治波止浜駅に向かう。21段〜27段の変速ギア付きロードサイクル自転車とヘルメットを借り、初体験の長距離サイクリング開始に逸る気持ちはツール・ド・フランス! 7つの島を通り尾道まで寄り道しなければ70Kmの道のり。島と島は西瀬戸高速道上の橋で繋がっており、高さが海面から45〜80mあり、たどり着く橋の上の走行は、五臓六腑の垢が全て吐き出される感すらする気持ち良さ!渡る橋の総延長は10Km。瀬戸内海の島内のサイクリング、潮の香りを嗅ぎながら自力走行で風を切る素晴らしさ!初日のハイライトは、世界で類をみない全長4Kmを超える三連吊り橋の来島大橋、中世 瀬戸内海を暴れまわった村上水軍本拠地と水軍記念館見学。自然の要害ともなった流れの速い渦潮の海流を、走行しながら真近に見るのは迫力満点。島と島を結ぶ橋以外は島内の一般道を走るためローカル色豊かな景色と雰囲気を愉しめ、外国人を含む多くのサイクラーが行き交う。しまなみ海道の特長は大部分が自転車専用道路であり、完備された標識が安全な走行を助けてくれることだ。初日は30Km程走り三つ目の島・大三島にある和風宿に投宿。半端ない瀬戸内海の海の幸に仰天した。
28日、天気晴朗にして波穏やかな瀬戸内海、絶好のサイクリング日和。この日は島中央の高いところにある天照大神の兄神を祀る大山祇神社を、汗をかきかき訪れる。島の大きさにしては不釣合いな程に立派な神社であった。途中、好事魔多し、1台がパンクしたが運良くレンタサイクル・ターミナルが近く、自転車の交換が出来て事なきを得た。生口島(いくちじま)は、唯一平坦な道路で海岸べりを快調に走り、島出身の画家平山郁夫の記念美術館を訪れひと息入れた。サイクリング二日目の宿泊地・因島へは5つ目の生口島大橋を渡って辿り着く。午後になっても快晴だった天気予報は翌日100%雨、台風24号の接近を知らせていた。雨中の自転車走行は御免被りたいと、翌日の走行は諦め二日目終了時点で返却することにした。返却場所から10Km以上離れたホテルへは一時間一本のバス、最寄り停留所まで迎えに来てもらい午後4時過ぎ到着。ペンションと言った方が正確な瀟洒な建築家ビル・ヴォーリス設計の広島の建築100選に挙げられる古いが素敵な建物。11人の贅沢な貸切宿泊。合宿の最終7夜目、素敵に美味しい料理を饗され大満足で最後の夜が更ける。夜半窓を叩く大きな雨音に何とはない安心感を胸に眠りに落ちた。因みに泊まったのは著名人も利用する「白滝山荘」。
29日(最終日、8日目)、天気予報通り雨。しまなみ海道全行程完走は断念せざるを得なかったが、走行距離はアップ・アンド・ダウンありの60Km、海面上50mの天空の橋を走る解放感の醍醐味あり、潮風を受けて爽快感一杯に漕ぐペダル回転数は毎日15,000余!未知なる体験は忘れがたい思い出となった。今治から尾道に至る各地には造船所があり、穏やかな瀬戸内海風景に硬派のアクセントを与えているのも「しまなみ海道」の特徴の一つだ。最終日は雨の中、バスで中国本土へ、新幹線で帰路についた。一日違いで台風襲来、間一髪だった。
登山、サイクリング、美術館と松山市街巡りに懇親会と、バラエティーに富むハードとソフトの組み合わせ、皆の和のたまもの!おまけに西日本豪雨の風評被害の影響緩和、旅行需要の喚起のため愛媛・広島両県にまたがり連泊した者に一泊あたり6,000円の補助金を支給する施策の恩恵を受ける幸運にも恵まれた。
あと何回皆で一緒に行けるか?来年の合宿はどこになるのかな?