エーガ愛好会 (117)   ミザリー  (44 安田耕太郎)

「ホラーの帝王」の異名を持つスティーヴン・キング原作の「Misery」(悲惨の意)の、1990年制作の映画。彼の人気小説「キャリー」、「シャイニング」、「スタンド・バイ・ミー」などに続くサスペンス ホラー・ストーリー。1994年には彼の原作「Rita Hayworth and Shawshank Redemption」(邦題:刑務所のリタ・ヘイワース)による映画「ショーシャンクの空に」(The Shawshank Redemption)が人気を博した。「ミザリー」も彼ならではと唸らせる。原作小

スティーブンキング

説の方が、映画より場面を想像して膨らませられるだけ、より不気味で怖かった。それでも映画も充分に怖い。彼がこの小説を執筆したのはロンドンへと飛ぶ機内で見た夢に出てきた話を基に一挙に書き上げた由。当時、キングはアルコールと薬物中毒の治療を受けていて、看護婦の世話になっていたところから、主人公の女性を看護婦とした、と言われている。

穏やかで人の良い中年女性役の多いキャシー・ベイツの怖く不気味な怪演が光る。オタクおばちゃんの演技がうますぎる。喜びで浮かれまくっている時のはじける笑顔と、いきなりサイコパス顔に豹変する落差が凄まじい。笑顔と恐怖の顔が繰り返され、次第に恐怖が増幅していく仕掛けになっている。正気と狂気、微笑み・優しさと恐怖の対比による相乗効果は特筆もの。ヒッチコック監督のサイコパス映画「サイコ」1960年で精神病質者を演じたアンソニー・パーキンスの役名はノーマン・ベイツどちらの ”ベイツ“ も不気味で怖かった。キャシー・ベイツ42歳時の映画で、アカデミー主演女優賞に値する好演だ。以後、出演機会が増え確固たる位置を占める女優となる。「タイタニック」、「ミッドナイト・イン・パリ」でも好演していた。

ベイツに翻弄される作家役を、「ゴッドファーザー」「遠すぎた橋」(A Bridge Too Far)などで豪放な役を演じた50歳のジェームズ・カーンが魅せる。彼の両映画出演写真添付。キャシー・ベイツの好演が全てのようではあるが、相手役を演じたカーンの演技も秀逸で、ベイツに対する恐怖や痛みの表現と逃れるための必死の行動があって「ミザリー」は成立している。カーン演じる作家は著作「ミザリー・シリーズ」で知られた存在。映画の題名「Misery」“悲惨“ と ”小説内のヒロイン名“ の両方を掛けている。巧妙だ。更に、アニーが可愛がるペットの豚の名前もミザリーだ。ファン心理からくるサイコパス女性の狂気を描き、異常なまでに作家を追い込み占有したい欲求に駆られ、それが裏切られた際の恐怖に満ちたヒステリーを演じたキャシー・ベイツには脱帽だ。彼女の狂気から必死に逃れようともがく作家との間の死闘ともいうべき攻防は見応えがある。

物語は、雪に閉ざされた小さな家の中で起こる密室に近い映画舞台設定は、ヒッチコックの「裏窓」1954年、オードリー・ヘップバーン主演の「暗くなるまで待って」1967年のサスペンス映画と同じだ。いやが上にも両主役俳優の名演技と演出が際立つ舞台設定だ。 映画の最後に近く主人公が小説を執筆していたシーンで、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番が流れていて、ホラーを和らげるかの雰囲気を醸し出すが、そのすぐ後にポールとアニーの命を懸けた血みどろの決闘が始まる。印象的な場面だった。

”遠すぎた橋”のジェームス・カーン

(保屋野)「ミザリー」、初めて観ました。ホラー&サスペンスというジャンルなのでしょうか。気違い女に監禁された作家が、いかに彼女から逃れられるか、という筋立てで、ハラハラドキドキ感もありました。

主役のキャシー・ベイツはこの気違い女の役でアカデミー主演女優賞をとったそうです。作家役のジェイムス・カーンも雰囲気のある良い俳優だとおもいます。出演はほぼこの二人だけ、という安上がり?の映画ですね。

私はホラー映画が苦手でほとんど観ませんが、この映画や「サイコ」はサスペンスの要素が強く、まあまあ面白かったです。さて、私がこれまで観た映画(少ないですが)の中で、最もハラハラドキドキしたものは「逃亡者」でしょうか。~テレビの方が面白かったですが。あとは「ポセイドン・アドベンチャー」や「恐怖の報酬」あたりかな。

(船津)安上がりの映画。気持ち悪さで引っ張っていく。何となくホラーでも無いしサスペンスでも無いしつまんねー映画。