エーガ愛好会 (32)  シャレード - ヘプバーンを巡って

(安田)

二度目の「シャレード」でしたが、前回は数十年前だったので筋を殆ど覚えておらず新鮮に観れました。 初めて観たヘップバーン映画「ローマの休日」の制作された1953年から10年後の作品。その間の10年に制作された映画で観たのは、「麗しのサブリナ」「パリの恋人」「戦争とアンナ」「昼下がりの情事」「尼僧物語」「噂の二人」「ティファニーで朝食を」でした。その後の映画では「マイ・フェア・レディー」「おしゃれ泥棒」の二本。最も好きな映画は「ローマの休日」。映画の舞台ローマの素晴らしい観光名所巡り、彼女の初々しさ、ストーリーの面白さ、相手役など映画を面白くする脚本・演出・配役が揃っていました。それにしても彼女と共演する男優は随分年上のほとんど大御所ベテランばかり。グレゴリー・ペック、ハンフリー・ボガート、ウイリアム・ホールデン、フレッド・アステア、ヘンリー・フォンダ、ゲーリー・クーパー、ピーター・フィンチ、レックス・ハリソン。同年代はジョージ・ペパートとピーター・オトゥ―ルのみ。この「シャレード」でも25歳年上のケーリー・グラントが相手役。彼女の繊細で優美な容姿と穏やかで柔らかいキャラクターをアイドル的に扱う、映画界の “男” 社会の目線が支配していたのでしょうか?現在の映画では殆どあり得ない主演男優・女優の年齢差であると思います。

お洒落で軽妙な洒脱に溢れた映画出演が目立つ彼女の映画の中で、やや重たい深刻な役を演じた「尼僧物語」「戦争とアンナ」、そしてとシャーリー・マクレーンと競演した人間ドラマ「噂の二人」を経て、円熟と言っていいオードリーの持ち味が十二分に発揮された、もはや彼女の十八番ともなったロマンティック・コメディやサスペンス映画の一つでした。専属契約を結んでいる服飾デザイナー・ジバンシーの洋服ファッションが映画の舞台パリに映えて目を楽しませてもくれました。ウォルター・マッソー、ジェームス・コバーン、ジョージ・ケネディの脇役陣も良かった。肩肘張らずに楽しめた2時間でした。

(久米)

暫くPCを開けないうちにすでにBS12月のラインアップが届いておりました。いつもいつもありがとうございます。バルカン超特急はヒッチコックの隠れた名画だと思っています。あっと言うどんでん返し、白黒画面でヒッチコックがイギリスで撮った終わりの頃の作品でこの重要な役がらの女優さんは私のお気に入りの映画「ミニバー夫人」では誇り高い名家の夫人役を演じております。イギリス映画の重鎮のような存在です。「愛と青春の旅立ち」リチャード・ギアの若々しい映画、もう見なくてもいいかな。アメリカングラフテイではハリソンフオードがチンピラでちょっと出てきます。12月7日午後9時放映の日本映画「フラガール」是非ご覧ください。中々の感動作です。

「アラスカ魂」は「リオ・ブラボー、」「アラモ」、とジョン・ウエインが立て続けに出演した映画ですがその中ではちょっと見劣りがする気がしました。歌手のフェビアン、(これもリオ・ブラボーのリッキー・ネルソンと比べると大分落ちますが)出演して主題歌も歌っているので見てみましょうかという気分。何回見ても新しい感動がある「ゴッド・ファーザーⅠ,Ⅱ、Ⅲ」「巴里の屋根の下」は必見、拾い物と思われる12月31日の「テキサスの5人の仲間」ヘンリー・フオンダとポール・ニューマンの奥さんのジャアン・ウッドワード共演のこれまた最後のどんでん返しが面白い、儲け物の作品です。

GIさんお勧めの「トウーム・ストーン」「サムライ」の予約録画を取り消してみました。ロバートミッチャムのナレーションに始まりアープ兄弟のつながりなど良く解りました。しかし、「OK牧場の決闘」でしみついてしまったワイアットアープはバートランカスター。ドク・ホリデイはカーク・ダグラスという印象が強すぎてどうもしっくり来ませんでした。

「昼下がりの情事」勇気をもって見直しました。やはり、クーパー様の年の取り方が凄くて当時56歳、この4年後に亡くなるとは言え最後の駅のシーンでもオードリーをよく抱き上げられたと思う程でした。前に見た時もクーパーのしわが気になったのですがクーパーフアンならずともビリーワイルダーがケーリーグラントに出演依頼したという話も分かるような気がします。もうすぐ77歳になる私ですが人様から見たらどんな年よりかとちょっと怖くなります。オードリーヘップバーンの忘れてはいけない出演作品に「暗くなる迄待って」をあげたいと思います。この作品はオードリーにしては珍しいサスペンス映画ですが恐怖を感じながら見た覚えがあります。4つ星の傑作だと思います。

最後に、小川さん、お久しぶりです。映画の事、色々お教えください。志賀高原のオリンピックコースを二人で悪戦苦闘して滑り終えたこと思い出します。

(安田)暗くなるまで待って。非常に面白いサスペンス映画でした。まさに4つ星の傑作。コブキさん、ありがとうございました。見応えある映画を推薦していただきました。動画配信サービス「U-Next」を利用してテレビ画面で観ました。

制作された1967年は、「招かれざる客」「夜の大捜査線」「卒業」「俺たちに明日はない」「007は二度死ぬ」、ヘップバーンとアルバート・フィニー共演の「いつも二人で」など豊作の年でした。明るい役どころが多いオードリー・ヘップバーンが珍しくこわいサスペンス映画出演。盲目の主婦役で事件に巻き込まれ、まるで一人芝居を演じるが如く熱演。ヒッチコック映画「裏窓」と同じように、ほぼ全編 部屋内のシーンだが緻密なシナリオとサスペンス感を盛り上げる演出が秀逸。

目を大きく(彼女の目はとても大きい)見開き、盲目の人の視線、顔の表情、歩く所作や諸々の動きと恐怖の表現を見事に演じて感心。目のまばたくきは全くしない。盲目者を演じる勉強と準備を充分したことが容易に伺われました。さらに台詞の多さ、喋りと演技時間の長さなど、他の出演映画に比較して濃密で集中を必要とする役柄を緊迫感溢れるシーンの連続の中で演じた。題名の通り最後の暗がりでの30分のサスペンス感は見応え充分。彼女の表情を画面からスマホで撮影して貼付しました。1950〜60年代に25本近くの映画に出演し続けた彼女にとって、20年近くに及んだキャリアの最終段階に近い、1960年代最後の映画出演。その後は1976年まで9年間出演なし。その意味では、彼女の映画キャリアの集大成に近い覚悟で臨んだ映画だったかもしれない。
(編集子)僕らの高校から大学への時代はなんといってもプレスリーから始まったと思うが、グレース・ケリー、少しずれるがマリリン・モンロー、そしてオードリー・ヘップバーン、何とも懐かしい名前である。面白いことに仲間うち(スガチューももちろん入っていた)で話をするとき、”ローマの休日” だけはみんなが申し合わせたように ”ローマン・ホリディ” と言っていたような記憶がある。休日、なんていう表現でなく、わざわざホリディ、と言わせた雰囲気というかあこがれというか、なにかそういうものがあったのだろうか。
大学最終の秋、かの早慶六連戦の神宮の観覧席に毎回応援指導部が作るむしろ旗のなかに ”ケイオーノユウショウ イワウ ケネディ” というのがあったのを覚えているが、ジョン・ケネディという新しい時代のリーダーの輝かしい時代が僕らの青春であり、ヘプバーンの笑顔もまた、その象徴でもあった。