月いちメンバー 家に籠る (16)  (44 安田耕太郎)

退職後の「毎日が日曜日」がギアが一段上がって「毎日が冬眠状態」生活に様変わりして、今日はどうやって過ごそうかと思いつつ、ともかく朝目覚めてからその日暮らしの毎日。日々似たり寄ったりの蓑虫生活です。
暇に任せて読書をしたり、ネット徘徊でコロナ情報の渦に巻き込まれたり、天気が良ければ近くの多摩川河原を散歩したりですが、ひとつ幸運なことにKWV先輩姉位のご指南を頂く機会に恵まれ映画鑑賞にはまってしまいました。映画館に出向くわけにはいかず、専らAmazon Prime配信, BS放送、時にはDVD中古購入に頼っています。主たる供給源はAmazonPrime配信でほとんどがロハ、有償の場合でも一本200円ほどと経済的。コロナ禍問題が深刻なって以降週に最低5本、今年になって50本近くは観ました。まだ観続けている現在進行形です。
まずは30年代~50年代のモノクロ洋画を手始めに手当たり次第といった感じ。ウイリアム・ワイラー、ビル・ワイルダー、ヒッチコック、ジョージ・キューカー、ジョン・フォードンなど名匠監督作品が目白押しで、流石ハリウッド映画全盛時代の秀作ぞろい。21世紀映画に到達するにはしばらくかかりそうです。
その中から印象深い映画を挙げると、1952年制作の「人生模様」はアメリカのアンソロジー映画。オー・ヘンリーの5つの短編をオムニバスでそれぞれ5人が監督した。ペイソツとエスプリ溢れるオー・ヘンリーのストーリーにマリリン・モンロー、チャールズ・ロートン(映画「情婦」の弁護士役、「狩人の夜」の監督)、リチャード・ウイドマークなど名優が演じていて面白い映画でした。最も驚いたのはジョン・スタインベックが各短編毎に解説をしていたことで初めて彼の動画を観ました。テレビ画面に映った彼の姿が左です。
スタインベックついでにジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演で1940年制作の映画「怒りの葡萄」も観ました。面白さは本には敵いませんがなかなかの映画です。主役一家がルート66を辿りまさに新天地カリフォルニアを目指すシーンなどは昔のヒッチハイクの旅を思い出させてくれます。
監督を辿り、俳優を追っかけ、ジャンル毎に映画を観る楽しみが生まれてきます。次々に拡がっていく楽しみがあります。イギリス映画にしろアメリカ映画にしても第二次世界大戦前夜、戦争中、戦後すぐにしても、よくもまあそんな大変な時代にこれだけの名作を造った余裕と文化的底力には恐れ入ります。
1957年制作のビリー・ワイルダー監督の名画「情婦」をまだ中学一年生の時、題名の艶めかしさに惑わされて地元九州の映画館に観に行きました。アガサ・クリスティーの法廷ミステリー作品で全く内容が理解できなかった。マリーネ・デイトリッヒが随分歳を重ねたおばさんに見えた記憶は残っていた後年成人してまた観てようやく筋が理解できたいわくつきの映画です。
当時の映画黄金時代には超ド級ではなくても、小結・関脇クラスの存在感で光っていた打撃王、ミニヴァー夫人、疑惑の影、我等が生涯の最良の年、に出演したテレサ・ライトなどもいて本当に豊潤な俳優陣でした。
映画を観るのは時間がかかり神経と眼の集中力も必要として結構疲れますが、それを十二分に打ち消す楽しさと面白さを体験できています。皮肉にもコロナ禍に
よる蟄居生活の贈り物となっています。今後も期待が膨らみます。