コロナは本当に去ったのか?  (普通部OB 篠原幸人)

週1回、水曜午後は青山四丁目にある新赤坂クリニックで患者さんを拝見していますが、このあたりではなかなか駐車場が見つからないので、バスで通勤しています。自宅から片道約15分です。そこで気が付くのは、マスクをしてバスに乗っているのは高齢者ばかり。一時期のコロナ騒ぎは何処に行ってしまったのでしょう?

 確かにコロナは今や軽症化し、重症になる人や後遺症のひどい方は少なくなりました。しかし、4-6週おきに経過観察に来られる私の患者さんの中でも、毎回1-2名は前回受診時以降、コロナに罹ったと訴える方が居られます。政府が公費節約のためにコロナを話題から極力はずし、マスコミも迎合して、コロナはもう過去の病気のように取り扱われていますが、まだまだコロナは健在です。特に高齢者は人混みや交通機関利用の際にはまだマスクは必須でしょうね。今でもどこの病院内でもマスク着用が義務づけられているのはご存じでしょう?

  私は青山に行く際には、麻布四ノ橋から新宿西口行きのバスを利用するのですが、外来は午後2時からなので、途中の天現寺駅で授業を終えた何人かの慶応幼稚舎生が乗ってきます。まあ多少やかましいのはしょうがないとして、降りる際に全員がひとりひとり「有難うございました」と運転手さんに感謝の言葉を大声で叫んでいきます。私の時代にはそのような教育は受けていなかったので、非常に新鮮で、清々しく感じます。幼稚舎生ばかりではありません。途中で乗ってくる笄小学校の子たちも同様です。でも中学生以上の少し大きい子どもたちからは何の挨拶もありません。12歳以下限定の風習でしょうか?

もっと大人になると(いわゆる10代後半から40歳ぐらいの成人の多くは)、バスの中でもスマホに夢中です。高齢者や赤十字マークを付けた病気の方、あるいは妊婦が乗ってきても気づかぬふりで、高齢者専用シートを平気で占領して、ほぼ全員がスマホを見ているまたは見ているフリをしています。「あたしはスマホ使用中なので気が付かないのです」と背中にでも書いてあればかわいらしいのですが。そのうち、日本人の大半は眼鏡をかけ、スマホ首で姿勢は悪くなるという状態になるのでしょうか?

一方、込み合う時間帯なのに堂々とベビーカートをもってバスに乗り込んできて、「私は特権階級だから席を空けて頂戴」という気、満々な若い主婦も時に見かけます。何とかならないものでしょうか? それでもわざとらしく軽く咳をしてあげるとビックリしたようにこちらを見る人が多いですね。実際には私はそんなこと、しないけどね。昔、「いじわる婆さん」ってマンガあったなぁ。

以前は、病院が遠方で帰宅時間の真夜中になることから、自動車通勤を強いられていた私には、いろいろ新鮮な経験が出来る楽しい日々を過ごしています。