ブロンコ・ビリー 1980」はクリント・イーストウッド7作目の監督作品。
ワイルド・ウエスタン・ショウを監督自身が、引っ張っていく頼もしい親分役として主演している。このワイルド・ウエスタン・ショウとは。そもそも西部開拓時代の英雄バッファロー・ビル(1846‾1917)が、組織し全米を興行したものだが、その亜流なのだろう。バッファロー・ビルを主人公にその伝記を描いた映画に 西部の王者(1944ジョエル・マックリー)、ビッグ・アメリカン(1976 ポール・ニューマン)がある。
冒頭カントリーウエスタン「カウボーイと道化師」が主題歌としてロニー・ミルサップにより歌われながら始まる。カントリー音楽とウエスタンショーのサーカスとともに、西部開拓時代の精神を守ろうとする男たちを描いた爽快でありながら苦みの効いた一作。団員全てが前科者だが、ブロンコ・ビリーのイーストウッドはじめとして、一座の司会役が黒人ドク・リンク(スキャットマン・クローザース)、ガラガラ蛇を手にインディアンダンスを見せるビッグ・イーグル(ダン・ヴァディス)とその妻混血のロレイン・ランニング・ウオーター(ジェラ・ペシャー)、投げ縄の名人レオナード・ジェームス(サム・ボトムズ)、左利き二挺拳銃だが、片手を失ったレフティことリーボウ(ビル・マッキーニー)という仲間6人。脇の仲間たちのキャラも丁寧に描かれる。興業の不入りで、給料の滞りに不満を漏らしながらも、主人公自身の弱さを隠せず、正義感が強く、人間臭い何よりも仲間を大切にする座長のことは大好きだったのだ。
其処へ30歳までに結婚しなければ父の遺産を継げないことから、好きでもない男ジョン・アーリントン(ジェフリー・ルイス)と結婚せざるを得ない女アントワネット・リリー(ソンドラ・ロック)が、ひょんなことから、このサーカス団に入ることになったから、さあ大変。しかも母親と悪徳弁護士が絡む騒動もあり、最初の西部開拓時代の精神を守ろうとする男たちの話から、ロマンス・コメディ・アクション要素が強く融合させながら描いた爽快でありながら苦みの効いた一作へと発展したのだった。カウボーイという人間が、一般社会からいなくなった時代に、拳銃使いとしてのカウボーイに扮してサーカスで活躍する男の姿、拳銃の射ち合いはないけれども、短気でぶっきらぼうながらも明日に希望を持って生きて行く人たち、すっからかんになり列車強盗迄企てようとして失敗するシーン。西部劇の要素が詰まっているとも言える。それが気の強い女性リリーが入って来てからは、西部劇の要素に暖かく楽しいスクリュウー・ボールコメディへ発展。気の強い女性と男とのテンポの良い丁々発止のやり取りから、ひと騒動あって、次第に恋に落ちて行くパターンになる。西部劇のヒーローは時代遅れの時代、愚直に夢を見るブロンコ・ビリーと彼に全幅の信頼を置く仲間たち、彼等たちの珍道中が忘れかけた純粋さと無邪気さを取り戻し、気持ちが暖かくなる楽しいほんわかした気持ちにして呉れたようだ。
(編集子)西部の王者 たあなつかしい。セーブゲキではないが 地上最大のショウ も興奮してみたもんだ。まだ中学生のころだったが、どういうもんか脇役のグロリア・グラハムにあこがれたことを思いだす。今考えてみてもなぜだったのかわからない、少年の日のできごとではあったな。この人と言い、ドロシー・マローンといい、脇役とか準主演級の女優にほれこんで各位ご存じの大女優に心を動かさなかったのはそれ、思春期❔特有の一種のコンプレックスとかいうやつだったのか?
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