三国山荘で野草を探そう  (44 吉田俊六)

標高950mの三国山荘の敷地には上越の道路沿いに里山から入り込んできた植物と、山野草とが混在している。山荘を中心に敷地をⅠからⅦのゾーンに分け、植物の観察をしましょう。山荘に集まりやすいのはWC・新人歓迎会、山菜採り、山荘祭、雪下ろし等ですが、今回は山菜採りと山荘祭の2回分の植物観察を想定します。

  • 山菜採りの頃

カタクリ、ニリンソウ、桜、新緑のカエデなどが楽しめ、連休明けなど、早めに開催であれば火を燃やす広場と疎水に挟まれた斜面ゾーンIIIに「カタクリ」の群落が咲き誇るはずです(KWV三田会ホームページ http://kwvmitakai.jp/参照。)

山荘の入り口手前のゾーンIの杉林根方に白い「ニリンソウ」達が恥らいつつほほ笑み、ゾーンIV すなわち旧文六旅館の敷地には道路側に数本の桜が花盛り、敷地奥の山側玉石の壁の上にカエデの新緑が眩い。小さいながらシャクナゲも枝を這わせる。(ついでながら、この平面は陽当りが良いので多面的に活用する楽しみ有。山菜標本園やあけび・野葡萄の繁茂支援等々、名案歓迎。拙者、境界近くにコシアブラなど植えたいところです。)

6月中と遅めの山菜採りとなれば、山荘の庭で目立つ花といえば、山荘と前の道路との法面緑地 ゾーンIIに植えたナツツバキの白い花。探索の歩を進めると、旧文六旅館の中段(ゾーンV)、さらに疎水へむかって上段のゾーンVIにかけて、針葉樹たちの下草にエンレイソウ(3枚の大きな葉の真ん中に小さな花)を発見。さらに、メイン広場へと車で斜めに上る道へと向かう左側のツガの大木の根方にベニバナイチヤクソウが凛とした色気で佇んでいるでしょう。

  • 山荘祭の頃。

「山で来い来い、里でいやいや」秋風になびくススキが手招きし、里芋の大きな葉は横に揺れる。「皆な来い来い山荘祭」の彩は、玄関前ゾーンⅡの法面:ワレモコウ(吾亦紅)、ヨメナやノコンギクなど様々な野菊たち、ミゾソバ、ゲンノショウコ等々。道路から山荘玄関への石段に送迎のアーチをかけるマユミの古木と赤い実など、皆なが目にし、楽しめる。今回の花形はゾーンVII,つまり山荘の裏庭と疎水の間のベルト地帯に潜む、白く細長い房が見事なサラシナショウマ、紫の個性派;トリカブト、黄色の細紐;キンミズヒキ、赤の縁起物;ミズヒキ、ムラサキシキブ等々。(この時期、浅貝からの道筋にツリフネソウ、キツリフネソウ、秋の七草たちが咲いており、そのうち移植を試みたいと思います。) 厨房の裏、山荘を守る主木は美しく逞しい。(広葉樹;楡の仲間と想定するが、正しい樹木名について未だ特定できていません。乞うご教示)

「花より団子」、食べられるなら関心を持つ御仁に耳よりのご報告。「山菜=QP*」と連想できない貴兄は次回からの山菜採りに参加をおすすめする。実は、通年賞味できる山菜が、ゾーン8、山荘の裏手の杉林の疎水の周辺に生息。ミズナ・ミズ・ウワバミ草と各地で愛称を持つ、あく抜きを必要とせず、生食も楽しめる優れものです。(とはいえ、希少資源ゆえ、大切に)

引き続き、山荘と周辺の植物たちのマップをつくり、これに対応した標識を作成・展示する課題が残されており、共に取り組んで下さる仲間を募ります。さらに夢なのですが、四季折々の三国山荘と周辺の山野草の記録写真やデッサンなど、80年間の各代の中で植物好きの方々の作品を募り、記録をアーカイブに収め、財産化(さらには、商品化して、山荘維持資金の糧に資する)する構想なども、花咲かせたいと思います。種まきと育成にご協力賜りたく存じます。

*QP, とは、KWVで山野草採りやバードウオッチングなど、広い趣味を誇り常に指導者格だった34年卒松本恭俊さんのあだ名。42年卒松本好弘さんの実兄)

“ひこばえ”の独白:

不肖「ずんろく(KWV渾名)」は先ず食用植物を探り、登山の道すがら花々に癒してもらいました。牧野富太郎・宮沢賢次に憧れ博物誌に興味は尽きません。山荘を彩る草木たちの集いに、皆様と一緒に寄り添い続けたく思います。