政府のコロナ対策に関して   (34 船曳孝彦)

先日掲載の本稿記事(新型コロナ対策)について補足しておきます。

感染症の2類に準ずるという方針でスタートし、致死率で比べるとインフルエンザを上回るものではないという議論から、私も含め、昨年早期から適当ではないという意見が強く、インフルエンザ並みの5類にという意見が強くありました。しかし、5類としてしまうと、入院勧告も出来なくなるし、患者届け出も1周間以内となって、現状把握が悪くなるなどの問題点もあります。

重傷者、中等症者、軽症ないし無症状(未症状)者の3グループの扱いが問題なのです。字面上は1類よりも厳しい新型コロナウィルス感染症でありながら、その時その時の社会状況(患者状況)に合わせてその場しのぎの対策で進めたため、あちらこちらに齟齬をきたしています。

重傷者を入院させねばならないことは自明の理ですが、2類から5類へと変更したとしても、感染者病棟というものには厳しい制約があり、おいそれとコロナ用病棟に変更出来るわけではありません。現在の一般重症病棟から2,3ベッドをコロナ用に使用するということには、机上の計算では簡単ても、多くの問題点があり不可能に近いことです。そこを何とかクリヤーしているのが現状なのです。前室(防災衣服着脱)、換気、遮蔽性、床などなどのハード面の問題があるうえに、コロナ用病棟となれば医師、看護師、検査技師など何倍もの人手が要ります。普通の重症病棟では、隣の患者が急変したらその場ですぐ手助けが出来ますが、感染症病棟ではなかなかそうはいきません。国立の簡易病院建設も視野に入って来ます。

この第5波ますます盛んな現在、どうすべきでしょうか。重症、中等症は何とかしてそれぞれの病床へ入院させ、軽症者はホテルなどに収容して医師の管理下に置く。ごく軽症、未症状者に限って自宅、自粛生活とする。出来ればこれも収容させたい。何故なら家族内感染が目に見えています。患者数が減ることはありません。収容施設としてはオリンピック選手村です。パラリンピックの方が人数は少ないはずです。感染した人たちを少しでも減らそうとしない限り、第5波の勢いは収まりません。

それには、ロックダウンです。日本の法律からも、社会構造からも、完全ロックタウンは出来ません。政府が、国を挙げてのロックダウンをしましょう(やはりお願いという形とはなってしまいますが)と、本気にならなければ日本はコロナで滅びたといわれるでしょう。人手を半減(出来れば7割カット)すれば、それだけ感染の機会も減ります。人類史上の大事件です。